
健康診断や人間ドック、眼科の検査で「緑内障予備軍」「緑内障の疑いがある」と言われ、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「緑内障予備軍」は正式な病名ではなく、眼圧が高い、視神経乳頭の陥凹が大きいなど、将来的に緑内障を発症する可能性がある状態を指して使われることがあります。予備軍と診断されたからといって、必ず緑内障になるわけではありません。
一方、緑内障は初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに視神経の障害が進行することがあります。そのため、定期的に検査を受け、目の状態を確認していくことが大切です。この記事では、緑内障予備軍とはどのような状態なのか、必要な検査や治療、その後の付き合い方について詳しく解説します。
緑内障予備軍とは
「緑内障予備軍」は医学的な正式名称ではありません。眼科では、前視野緑内障、高眼圧症、視神経乳頭陥凹拡大など、緑内障の発症リスクがある状態をまとめて指す言葉として使われることがあります。
視野障害が現れる前の段階「前視野緑内障」
前視野緑内障とは、OCT検査や眼底検査などで緑内障に特徴的な視神経の変化が認められるものの、視野検査では明らかな視野障害が確認されていない状態です。視野に異常が現れる前から視神経の変化が始まっている可能性があるため、定期的な検査によって進行の有無を確認する必要があります。状態や進行リスクによっては、眼圧を下げる治療が検討されることもあります。
眼圧が高いだけの状態「高眼圧症」
高眼圧症とは、眼圧が正常範囲より高いものの、視神経の障害や視野の異常が認められない状態です。眼圧が高いほど緑内障を発症するリスクは高くなるため、緑内障予備軍として経過観察が必要になる場合があります。ただし、日本人では眼圧が正常範囲内でも緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」が多いため、眼圧の数値だけで判断することはできません。
健診で指摘されやすい「視神経乳頭陥凹拡大」
視神経乳頭とは、目から脳へ視覚情報を伝える視神経が集まる部分です。その中央には「陥凹(かんおう)」と呼ばれるくぼみがあり、緑内障によって視神経が障害されると、このくぼみが大きくなることがあります。
健康診断などで「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘された場合でも、それだけで緑内障と診断されるわけではありません。もともと陥凹が大きい方もいるため、眼圧検査や視野検査、OCT検査などを組み合わせて詳しく調べることが大切です。
緑内障予備軍になりやすい人の特徴
40歳以上の方
40歳以上になると、20人に1人の割合で緑内障を発症しているといわれています。緑内障は年齢とともに発症する割合が高まるため、これまで目に異常を感じたことがない方でも、定期的な眼科検診をおすすめします。
強い近視がある方
強い近視がある方は、眼球が前後方向に長くなることで視神経に負担がかかりやすく、緑内障を発症するリスクが高いとされています。また、近視による視神経乳頭の形の変化と緑内障による変化を区別しにくい場合もあるため、眼圧だけでなく眼底検査やOCT検査、視野検査などを組み合わせて経過を確認することが重要です。
血縁者に緑内障の方がいる場合
両親や兄弟姉妹など、血縁者に緑内障の方がいる場合も発症リスクが高くなります。家族に緑内障と診断された方がいる場合は、そのことを眼科医に伝え、定期的な検査を受けるようにしましょう。
眼圧が高め・目の外傷やステロイド使用歴がある方
眼圧が高い方のほか、過去に目を強くぶつけたことがある方や、ステロイド薬を使用している方も注意が必要です。ステロイドは点眼薬だけでなく、内服薬や吸入薬、塗り薬などでも眼圧が上昇する場合があります。自己判断で薬を中止するのではなく、使用している薬がある場合は眼科医に伝えたうえで、必要に応じて眼圧などを確認しましょう。
緑内障予備軍で見られる自覚症状
緑内障予備軍の段階では、基本的に自覚症状はほとんどありません。緑内障へ進行した場合も、初期には視野の一部が欠けるなどの変化が現れますが、両目で見ていると、もう片方の目や脳が見えにくい部分を補うため、自分では気づきにくいことがあります。そのため、「見え方に問題がないから大丈夫」とは限りません。
また、片目ずつ見え方を確認するセルフチェックだけでは、初期の小さな視野障害や視神経の変化を正確に判断することは困難です。緑内障予備軍と指摘された場合は、自覚症状の有無にかかわらず、眼科で眼圧検査や視野検査、OCT検査などを定期的に受け、変化がないか確認することが大切です。
緑内障予備軍を調べるための検査
| 検査 | 主に調べること |
| 眼圧検査 | 目の中の圧力(眼圧) |
| 眼底検査 | 視神経乳頭や網膜の状態・色調 |
| 視野検査 | 見える範囲・視野の欠け |
| OCT検査 | 視神経の形状の詳細な分析・網膜神経線維層などの厚さ |
緑内障予備軍かどうかを判断するためには、ひとつの検査だけではなく、眼圧検査・眼底検査・視野検査・OCT検査などを組み合わせて目の状態を詳しく調べます。また、一度の検査だけで緑内障への進行リスクを判断することが難しい場合もあります。定期的に検査を行い、眼圧や視神経、視野などに変化がないかを確認することが重要です。
眼圧検査
眼圧検査では、眼球の内側からかかる圧力を測定します。眼圧の上昇は緑内障の重要なリスク因子のひとつです。ただし、日本人には眼圧が正常範囲内でも視神経が障害される「正常眼圧緑内障」が多いため、眼圧が正常だから緑内障ではないとは判断できません。他の検査結果とあわせて評価します。
眼底検査
眼底検査では、眼球の奥にある網膜や視神経乳頭の状態を観察します。緑内障では、視神経乳頭の中央にあるくぼみ(陥凹)が大きくなるなど、特徴的な変化がみられることがあります。健康診断で「視神経乳頭陥凹拡大」を指摘された場合にも、眼科で詳しい検査を行います。
視野検査
視野検査では、正面を見た状態で上下左右のどの範囲まで見えているか、見えにくくなっている部分がないかを調べます。緑内障による視野障害は少しずつ進行するため、定期的に検査を行い、過去の結果と比較することも重要です。
OCT(光干渉断層計)検査
OCT検査では、光を利用して網膜や視神経周辺の状態を詳しく調べます。網膜神経線維層などの厚さを測定できるため、視野検査では異常が現れていない段階の視神経の変化を捉えるためにも役立ちます。
緑内障の検査は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、初診で一通りの検査を行った際の費用は、おおよそ3,000~5,000円程度が目安となります。緑内障の検査には、いくつかの検査を組み合わせて行うことが多く、検査内容によって費用は異なります。
▶︎あわせて読みたい【理事長ブログ】緑内障の検査方法5つ。セルフチェックのやり方や治療法も解説
緑内障予備軍と言われた後の治療や経過観察
緑内障予備軍と指摘された場合でも、すぐに治療が必要になるとは限りません。眼圧や視神経の状態、視野検査やOCT検査の結果、年齢、家族歴などを総合的に判断し、定期的な経過観察を行う場合と、点眼薬による治療を始める場合があります。大切なのは、自己判断で通院を中断せず、定期的な検査によって変化を確認していくことです。
緑内障予備軍でもすぐに治療を始めない場合がある
眼圧がやや高くても視神経や視野に異常がない場合や、視神経乳頭陥凹拡大があっても緑内障による変化か判断できない場合などは、治療をせず経過観察となることがあります。定期的に眼圧検査、眼底検査、視野検査、OCT検査などを行い、以前の検査結果と比較しながら進行していないかを確認します。
リスクが高い場合は点眼薬で眼圧を下げる
眼圧が高い場合や、視神経の変化が進んでいる場合など、緑内障を発症・進行するリスクが高いと医師が判断した場合には、点眼薬によって眼圧を下げる治療を検討します。眼圧を下げる点眼薬には、目の中を循環する「房水」の産生を抑えるものや、房水の排出を促すものなどがあります。薬の種類は眼圧や目の状態、持病などを考慮して選択します。
次回の検査までの間隔は医師の指示に従う
経過観察の間隔はすべての方で同じではありません。眼圧や視神経の状態、緑内障への進行リスクなどによって異なるため、医師から指定された時期に受診することが大切です。また、市販薬や持病の治療薬のなかには、緑内障のタイプによって注意が必要なものがあります。
特にステロイド薬は眼圧を上昇させることがあるほか、閉塞隅角緑内障の方では、市販のかぜ薬や酔い止めなど一部の薬に注意が必要な場合があります。市販薬を含め、使用している薬がある場合は、主治医や眼科医に相談することが重要です。
緑内障予備軍の方が日常生活で心がけたいこと
「生活習慣を変えれば緑内障を予防できるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、特定の食べ物や運動などによって緑内障の発症を防げるわけではありません。ただし基本的な目の健康のためによいことは、緑内障を含め全ての目の病気にとって重要です。日頃の健康管理を心がけるとともに、最も大切なのは眼科で定期的に検査を受け、目の状態を確認することです。
バランスのよい食事と適度な運動を心がける
特定の食品やサプリメントだけで緑内障を予防できるという根拠はありません。栄養バランスのよい食事を基本に、無理のない範囲で適度な運動を取り入れ、全身の健康を保つことを心がけましょう。
喫煙や目に負担のかかる習慣を見直す
喫煙は目だけでなく全身の血管や健康に影響を及ぼすことがあります。また緑内障には直接悪影響はありませんが、加齢黄斑変性という別の病気の発症、悪化の要因になるので、できるだけ控えることが推奨されます。
また、スマートフォンやパソコンの使用そのものが緑内障の原因になるという医学的根拠はありませんが、長時間使用する場合は適度に休憩を取り、目を休ませるようにしましょう。
▶︎あわせて読みたい【理事長ブログ】スマホが原因で緑内障になることはある?緑内障を予防する正しいスマホの使い方は?
40歳を過ぎたら定期的な眼科検診を受ける
緑内障は初期には自覚症状がほとんどないため、自分で異常に気づいてから受診するだけでは早期発見が難しい病気です。特に40歳以上の方は、症状がなくても定期的に眼科を受診しましょう。眼圧や視神経、視野の変化を継続して確認することが、緑内障の早期発見・早期治療につながります。
緑内障予備軍と言われて不安の方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

緑内障予備軍と言われても、必ず緑内障を発症するわけではありません。しかし、緑内障は自覚症状がほとんどないまま進行することがあるため、定期的な検査で眼圧や視神経、視野の状態を確認していくことが大切です。「予備軍」と言われると不安になるかもしれませんが、定期的な検査で変化を早期に見つけ、必要に応じて適切な治療を始めることで、視機能を守れる可能性が高まります。
健康診断や人間ドックで「高眼圧」「視神経乳頭陥凹拡大」「緑内障の疑い」などを指摘された方は、そのままにせず一度眼科を受診しましょう。京都市伏見区のももの木眼科では、緑内障の検査・診断・治療に対応しており、緑内障の専門外来も設けています。緑内障について気になることや、ご不安がある方も、お気軽にご相談ください。お問い合わせやLINEからのご相談もお待ちしております。





