
白内障手術を受けて視力が回復し、明るい視界を取り戻した後に「また目がかすんできた」「視力が落ちた気がする」と感じることはありませんか?それは「後発白内障」かもしれません。後発白内障は、手術後に数ヶ月から数年を経て発症する、白内障手術後にみられる変化の一つです。
手術の失敗や再発ではなく、目の中に残った細胞の自然な反応によって起こるものですが、放置するとせっかく回復した視力が再び低下してしまうこともあります。本記事では、後発白内障になりやすい人の特徴や原因、治療方法までわかりやすく解説します。
後発白内障になりやすい人の特徴
後発白内障になりやすい人の明確な身体的特徴や生活習慣といったものは、現在のところはっきりと分かっていません。白内障手術を受けた方の約10~20%にみられ、長期的にはさらに高い割合で発症するといわれており、誰にでも起こりうる術後経過の一つです。
あえて傾向を挙げるとすれば、若年層で手術を受けた方は細胞の増殖力が高いため、比較的早期に発症しやすいとされています。また、ぶどう膜炎など炎症性疾患を合併している場合も、細胞増殖が促されやすいといわれています。さらに、糖尿病など全身疾患を持つ方では目の中の環境が変化しやすく、経過観察がより重要になる場合もあります。
ただし、後発白内障は医師の技術不足や手術の失敗によるものではありません。体がもともと持つ修復反応によって起こる自然な変化であるため、過度に不安になる必要はありません。
後発白内障の症状
後発白内障の症状は、手術前の白内障の症状と非常によく似ています。
・視界が全体的にかすむ、ぼやける
・光がまぶしく感じる(羞明)
・視力が低下する
・色が以前よりくすんで見える など
特に「以前はよく見えていたのに、再び霧がかかったように感じる」という訴えが多くみられます。一方で、痛みや充血などの炎症症状はほとんどなく、気づかないうちに徐々に見え方が低下していくことが少なくありません。眼鏡を作り直しても視力が改善しない場合や、手術後しばらくして見えづらさを感じる場合は、後発白内障の可能性があります。
白内障手術を受けたのに再発したのでは、と心配される方もいますが、水晶体は手術で取り除いているため白内障が再発することはありません。気になる変化がある場合は、自己判断せず眼科で確認を受けることが大切です。
後発白内障の原因
白内障手術では、濁った水晶体の中身を取り除き、「水晶体嚢(すいしょうたいのう)」という袋を残したまま、その中に眼内レンズを挿入します。この袋は眼内レンズを安定して支えるために必要ですが、手術の際に水晶体の細胞を完全に取り除くことはできず、わずかに水晶体上皮細胞が残ることがあります。
残った細胞は時間の経過とともに増殖し、水晶体嚢の後ろ側に膜のように広がって白く濁ります。これが後発白内障の原因です。つまり、眼内レンズそのものが汚れたり劣化したりするわけではなく、レンズを支えている袋が濁ることで光の通り道が妨げられ、見え方が悪くなるのです。
軽度であれば自覚症状がない場合もありますが、進行すると視力が低下することがあります。特定の人だけが発症するものではなく、白内障手術を受けた方であれば誰にでも起こりうる変化であることを理解しておきましょう。
後発白内障の検査方法
後発白内障の診断は、通常の外来検査で行えます。
・視力検査:現在の視力低下の程度を確認します。
・細隙灯顕微鏡検査:顕微鏡で目の中を観察し、眼内レンズの後ろにある袋(水晶体嚢)の濁りを直接確認します。
さらに、白内障手術前の検査と同様に「散瞳検査」を行うことがあります。目薬で瞳孔を広げることで、眼内レンズの周囲や袋の奥まで詳しく観察でき、より正確な診断が可能になります。また、視力低下の原因が後発白内障なのか、他の眼疾患によるものなのかを見極めることも重要です。
なお、散瞳剤を使用した検査後は一時的に強いまぶしさやピントの合いづらさが残るため、当日は車やバイクなどの運転はできません。公共交通機関などでのご来院をお願いいたします。
後発白内障の治療方法
後発白内障の治療に、点眼薬は効果がありません。治療には「YAG(ヤグ)レーザー」という専用の装置を使用します。濁りがある後嚢の水晶体嚢にYAGレーザーを照射して切開することで、後嚢の濁りを解消することができます。再びメスを入れるような大きな手術は不要です。
レーザー治療は、眼科用の機械に顔を乗せて行われます。点眼で麻酔をした後にコンタクト型のレンズを目に接着させてからレーザーを照射します。痛みを感じることはなく、通常の診察室にある装置に座った状態で数分程度で終了する、非常に負担の少ない治療です。治療翌日には視力回復が期待できます。
後発白内障の治療期間・費用
後発白内障の治療は、入院の必要がない外来での日帰り処置です。身体への負担が少なく、短時間で終了するため、普段と大きく変わらない生活を送ることができます。
期間
YAGレーザーで濁った後嚢に小さな穴(窓)を作ることで光の通り道が確保され、一度治療を行えば同じ部分が再び濁ることは基本的にありません。そのため、多くの場合は1回の治療で終了します。見え方の改善は早く、早い方では処置当日から視界が明るくなったと感じることもあります。
YAGレーザー治療は回復が早く、日常生活に大きな支障が出ることはほとんどありません。治療当日は安静の必要もなく、通常通り帰宅できます。翌日以降は経過確認のために定期的に診察を行い、眼圧や見え方に問題がないかを確認します。
費用
後発白内障のYAGレーザー治療は、保険適用となります。自己負担割合により費用は異なりますが、目安は以下の通りです。
| 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
| 片眼 | ¥2,200 | ¥4,400 | ¥6,600 |
| 両眼 | ¥3,700 | ¥7,400 | ¥11,100 |
※2026年2月現在
※症状の程度や処方される薬剤によって、費用が前後する場合があります。
※再診料や検査費用が別途必要になることがあります。
費用面・身体的な負担のいずれも比較的軽い治療といえるため、白内障手術後に視力低下やかすみを感じた場合は、我慢せず早めに眼科を受診することが大切です。
後発白内障の手術後の注意点
後発白内障のYAGレーザー治療は、身体への負担が少なく外来で短時間に行える治療ですが、術後は良好な経過のためにいくつか注意していただきたい点があります。
日常生活について
治療後は視力が早く改善することが多いものの、見え方が安定するまで数日ほどかかる場合があります。その間はまぶしさを感じたり、ピントが合いにくいことがあるため、無理をせず様子をみることが大切です。
治療当日は目を強くこすらないよう注意し、洗顔や入浴は目に水や刺激が入らないよう配慮しましょう。また、治療の前に散瞳薬(瞳孔を広げる目薬)を点眼するため、当日の運転はできません。
合併症・後遺症について
YAGレーザー治療後には、一時的に黒い点やゴミのようなものが見える「飛蚊症」が出ることがありますが、多くは時間の経過とともに軽減します。 また、まれに眼圧上昇や網膜剥離などの合併症が起こる可能性もあります。 急な視力低下、強い痛み、光が走るように見える、視野が欠けるといった症状が出た場合は、自己判断せず速やかに眼科を受診してください。
治療は短時間で安全性が高い一方、術後の経過確認も大切です。医師の指示に従って定期診察を受け、少しでも違和感があれば早めに相談しましょう。
後発白内障の予防方法
現在の医学では、後発白内障を100%確実に予防する方法は確立されていません。白内障手術後に残った細胞が自然に増殖することで起こるため、生活習慣や点眼だけで完全に防ぐことは難しいとされています。
ただし、近年は眼内レンズの素材やエッジ形状の改良により、以前より後発白内障が起こりにくくなっているといわれています。  また、最も重要な予防策は術後の定期検診を継続することです。後発白内障は自覚症状が少ないまま進行することもあるため、眼科で経過を確認することで、視力低下が進む前に適切なタイミングで治療につなげることができます。見え方に変化がなくても、定期的な受診を心がけましょう。
後発白内障に不安がある方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

「白内障手術をしたのに、また見えにくくなってきた……」「これって後発白内障かもしれない?」と不安に感じていませんか?後発白内障は決して珍しいものではなく、適切な診断と治療によって改善が期待できる状態です。
京都市伏見区のももの木眼科では、丁寧な診察と分かりやすい説明を心がけ、一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。YAGレーザー治療も外来で対応可能ですので、白内障手術後の見え方の変化や違和感がある方は、お気軽にご相談ください。WEB予約や公式LINEからもお問い合わせいただけます。





