
ICLは両目同時に手術をすることがほとんどですが、片目だけでも受けることができます。片方の目だけ視力が悪い、左右の見え方に差がある、近視が進んでいるといったケースでは、片目だけの手術が選択肢になることもあります。
しかし、両目に手術を行う場合と比べて、片目のみの場合にはメリット・デメリットが異なる点もわずかながらあります。また費用の違いもあるため注意が必要です。
本記事では、ICL手術を片目だけに受けることは可能なのか、その効果や注意点、費用面の違いについて詳しく解説します。自分の目の状態やライフスタイルに合った選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
ICLは片目だけでも手術できる?
ICLは、片目だけを手術することができます。術前検査や、手術の方法なども変わりはなく、両眼の手術と同じように考えていただいて問題ありません。
ただし片目だけの手術が必要になることは多くはありません。どういった場合に片目だけの手術が必要か、費用はどうなるのかなどを詳しく解説いたします。
ICLの片目だけの手術効果は?
ICL手術を片目だけに行ったとしても、両眼と特に視力改善の効果はかわりません。もちろん手術した方の目しか近視は治りませんが、手術しなかった方の目が悪くなるなどのデメリットはないのでご安心ください。
片方の目だけに近視がある場合は、片目だけICL手術をすれば左右の視力がそろって見やすくなります。両眼で立体的に物をとらえる能力や、遠近感に関しても有利になるので手術によるメリットはあります。
ただし、片方の目だけに近視がある場合は、そちらの目がパソコンやスマホを見る時に無理なく見ることができるというメリットもあるため、生活スタイルによってICL手術をうけるべきかどうかは変わってきます。
ICLの片目だけの手術費用は?
ICL手術を片目だけに行う場合の手術費用は、単純に両眼の場合の半額になります。当院の場合は、乱視なしのICLで、税込33万円、乱視ありのICLで税込35.3万円となります。両眼の時と同じく医療ローンも使えますので、お気軽にご相談ください。
ICLを片目だけ行うケースとは?
片目だけのICL手術となる場合というのは、片方の目だけが近視で視力が悪く、もう片方の目は視力がよい場合です。このように、片目だけ近視という方は時々おられます。近視は近くをみる時間が多いほど進みやすいと言われています。
例えば、近くを見る時に片方の目だけを使うようなクセがある場合は、片方だけ近視が進むということは十分にありえます。
無理なく見やすい距離に左右で差ができてしまいますので、こうなると視力のよい方の目で遠くを見て、近視のほうの目で近くを見るという分業体制が成立してしまい、近視の目はますます近視が進んでしまいます。こうして成人する頃には片方だけが強い近視となります。
この場合は近視のほうだけをICL手術をすれば両眼の視力が揃って見やすくなります。また、45歳以上で老眼が出てきている方で、片方だけICL手術をして近視を治療して、もう片方は近視のままにしておいて近くを見えやすくするという方法があるにはあります。
このような方法をモノビジョンといいますが、人によっては見え方に慣れずに気持ち悪くなる場合もあるので、当院では推奨していません。
ICLの特徴
ICLは眼内コンタクトレンズと呼ばれることもありますが、コンタクトレンズとは素材、用途含め全く異なるものです。目の中に特殊なICLレンズを入れることで視力の回復を行います。
コンタクトレンズと異なりメンテナンスは不要で50年以上もつと言われています。メガネ・コンタクトが不要になることで生活が便利になります。
また、メガネは目からレンズまでに少し距離ができてしまいます。そのせいでメガネをかけると人からみたときに目が小さく見えますし、自分から見た場合も物が小さく見えてしまいます。ICLは目の中にレンズが入るので、このようなことが起こりません。
同じ近視矯正の手術にはレーシックがありますが、レーシックは角膜を削るという手術の性質上、強度近視の場合は削る量が多くなり適応にならないこと、削った角膜は元にはもどせないというデメリットがあります。
ICLでは、レンズの度数が幅広いため強度近視にも無理なく対応できます。また、ICLレンズを抜去することで、もとの状態に戻すことも可能です。
ICLのメリット・デメリット
メリット
ICLの最大のメリットは近視を矯正することで、メガネ、コンタクトレンズが不要になることです。メガネは特に強度近視の場合はかなり分厚いレンズになってしまうため使っていて、疲れやすくなります。人から見て目が非常に小さく見えたりなどのデメリットもあります。
また、長時間使用していると、メガネをかけている耳や鼻パッドの部分が痛くなってくることもあります。これらの問題は、ICLではおこりません。
コンタクトレンズは、ケアを怠ると感染症のリスクがあります。適切に使用していても、長期間使用すると角膜という黒目の部分に障害が出てきたり、白目が黄色く濁ってきたりという問題もあります。
また、ハードコンタクトレンズの場合は、長期的な使用により、まぶたが下がる眼瞼下垂という病気が起こりやすいです。これらの問題はICLでは起こりません。費用的な面でもコンタクトレンズを長期間使う場合は、結果的にICLの方が安くなる場合も多いです。
また、ICLのメリットとして、術後のコントラスト感度(色のはっきり見え具合)が高いということがあります。レーシックは角膜を削るという手術の性質上どうしても術後コントラスト感度が落ちたり、ドライアイを引き起こすことによる見え方の悪さというものがありますが、ICL手術ではそれがありません。
ICLは、レーシックでは手術ができない強度近視にも広い適応範囲をもち、無理なく手術ができますし、レンズは抜去が可能なのでレーシックと違い、もとの状態に戻すこともできます。
デメリット
ICLのデメリットとしては、費用が高いということがあります。レーシックと比べても倍程度の費用がかかります。これはICLに使用するレンズ自体が非常に高性能のレンズで高コストであるためで、今後も価格が下がることはあまり期待できません。
また、ICL手術後にレンズのサイズが合わなかった場合には、入れ替え手術が必要になります。しかし、術前検査で高性能前眼部OCTであるCASIA2という機器を使用する場合、レンズサイズの不適合による入れ替えは、ほぼ起こらないといわれています。
そのため、当院ではICL術前検査用にCASIA2を導入しています。手術を受ける際は、このように設備が充実している施設が推奨されます。
ほかのデメリットとしては、目の中の細菌感染である眼内炎が起こりうるということもあります。頻度は0.017%と低いですが、感染が起こった場合にはレンズを抜去して治療を行う必要があります。
視力に左右差が生じる原因
1.片方だけ近視がある
先に述べたように片方の目だけ近視が進むということがありえます。一度左右差が生じるとその差は成長と共にますます広がる傾向にあるので、大人になった段階ではかなり左右差が強い状態になることが多いです。
2.片方だけ乱視がある
乱視は生まれつきの黒目の形によって起こるもので、片方の目だけ乱視がある方というのは一定数おられます。通常の乱視であればICLで治療することは可能です。
3.片方だけ弱視がある
弱視とは成長の過程において、なんらかの要因で視力が発達しないことをいいます。弱視の場合は、メガネやコンタクトレンズで視力を矯正することができず、ICLでも同じく視力が回復することはありません。
もし弱視がある場合は、術前検査ですぐにわかりますので、ICLの適応がないことをお伝えさせていただいています。
4.片方だけ特殊な目の病気がある
目の奥にある網膜という部分の病気など、特殊な病気が片方の目だけにある場合は視力に左右差ができます。このような病気がある場合もICL手術の適応にはなりませんので、術前検査の時にその旨をお伝えさせていただいています。
視力の左右差を放置するリスク
視力の左右差がある場合でも、両目で見た時に問題なく生活にも困っていない場合はそのままにしておいても問題ないことも多いです。ただしいくつか放置してはいけない場合がありますので、解説いたします。
1.成長期の子供の場合
先に述べたように近視が片方だけにある場合、そのまま放置するとさらに左右差が広がってしまうので、メガネやコンタクトレンズでの矯正が必要になります。大人の場合は生活に困っていなければそのままで問題はありません。
2.乱視、遠視で左右差がある場合
特に成長期の場合、片方だけ乱視や遠視があると、見えやすいほうの目だけを使ってしまい、悪い方の目を使用しないということがおこります。
その場合は、悪い方の目の視力が発達しないことがあります。これを弱視と言います。近視の場合は、近くはしっかり見えており視力そのものはしっかり発達するので弱視になることはありません。
3.目の病気で視力が下がっている場合
片方の目だけになんらかの病気があり、視力が下がっている場合は、放置すると治療の機会を逸してしまうので、最善の治療をする必要があります。
片目だけのICL手術を検討している方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICL手術を片目だけ検討する方というのは多くはありませんが、一定数おられます。片方の目の視力低下の原因によっては手術の適応にならないこともあります。
ももの木眼科では、ICL以外の眼科一般診療についても様々なケースに対応することができます。そのため、特殊なパターンについてもメリット・デメリットをしっかり説明して、納得の上治療を受ける、受けないを決めていただくことができます。
また、ICLの術前検査では、近視以外の病気がないかを全て調べることが可能です。いわゆる目の健康診断であるアイドックを受ける事と同じように詳細な検査を受けることができます。
近視以外の病気で片方だけ視力が下がっている場合でも原因をつきとめることができますので、片目だけのICL手術を検討している方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。
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