
近視や乱視だけでなく、老眼も同時に改善したいと調べる中で「多焦点IPCL」という治療法を知った方も多いのではないでしょうか。IPCL(有水晶体眼内コンタクトレンズ)は、角膜を削らずに眼内へレンズを挿入することで視力を矯正する治療法です。
なかでも「多焦点IPCL」と「単焦点IPCL」では、ピントの合い方、見え方の質、夜間視力、適応条件などが大きく異なります。本記事では、多焦点IPCLと単焦点IPCLの違いを7つの項目に分けて解説し、それぞれのメリット・デメリット、どのような方に適しているのかを分かりやすくご説明します。
多焦点IPCLと単焦点IPCLの違い
IPCLには、ピントが1か所に合う「単焦点IPCL」と、複数の距離にピントが合う「多焦点IPCL」の2種類があります。どちらも角膜を削らずに眼の中にレンズを挿入し、視力を矯正できる治療ですが、見え方や適応、満足度には明確な違いがあります。ここでは、多焦点IPCLと単焦点IPCLの違いを、項目ごとに詳しくご説明します。
ピントの合う距離
単焦点IPCLは、近視・遠視・乱視に対応することが可能で、特定の1点の距離にピントを合わせる設計です。そのため、合わせた距離については非常にシャープでコントラストの高い見え方が得られます。例えば「遠くをはっきり見たい」場合は遠方にピントを合わせることで、裸眼でも快適な視界が期待できます。
一方、多焦点IPCLは、レンズに特殊な構造を持たせることで、遠方・中間・近方の複数距離にピントが合うよう設計されています。メガネのかけ替えを減らせる可能性がある反面、光を複数の焦点に分配するため、単焦点IPCLと比べると焦点が分散される特性があります。
老眼への対応
老眼は、加齢により水晶体のピント調節機能が低下することで起こります。単焦点IPCLは、近視・遠視・乱視の矯正に使用されますが、老眼そのものを矯正することはできません。
一方、多焦点IPCLは老眼への対応を目的として設計されており、遠くと近くの両方を見やすくすることが期待できます。ただし、老眼を完全に治す治療ではなく、若い頃のような自然なピント調節力を取り戻すものではありません。
多焦点IPCLは、老眼による不便さをある程度軽減する治療であり、「メガネへの依存を減らすこと」を目的とした選択肢といえます。そのため「近視も老眼も完全に治したい」というご希望が強い場合には、IPCLではなく「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」の方が適しているケースもあります。
見え方の質
見え方の鮮明さやシャープさを重視する場合、単焦点IPCLのほうが焦点が一つであるため、コントラスト(色の濃淡)が高く、非常にクリアな見え方になります。多焦点IPCLは、光を複数の焦点に振り分ける構造上、単焦点と比べるとコントラストがやや低下します。
そのため、人によっては「少し色が薄く感じる」「鮮やかさが物足りない」と感じることがあります。見え方の質に対する感じ方には個人差が大きく、事前の十分な理解が重要です。
夜間の見え方
多焦点IPCLでは、夜間にハロー(光の周りに輪が見える現象)やグレア(まぶしさ)を感じることがあります。特に暗い場所での運転中や、街灯や車のヘッドライトを見る場面で自覚しやすい傾向があります。
これらの症状は単焦点IPCLでも起こりますが、構造上、多焦点IPCLの方が生じやすいとされています。夜間運転の頻度が高い方や、暗所での見え方を重視される方は、慎重な検討が必要です。
費用
一般的に、多焦点IPCLは単焦点IPCLよりも費用が高くなる傾向があります。設計が複雑であり、老眼対応という付加価値があるためです。費用だけでなく、「どのような見え方を優先したいか」ご自身のライフスタイルを踏まえた検討が大切です。
期間
一般的に、多焦点IPCLは単焦点IPCLよりも費用が高くなる傾向があります。設計が複雑であり、老眼対応という付加価値があるためです。費用だけでなく、「どのような見え方を優先したいか」ご自身のライフスタイルを踏まえた検討が大切です。
期間
手術自体の流れや回復スピードに大きな違いはありませんが、多焦点IPCLでは見え方に慣れるまでに時間がかかる場合があります。脳が複数焦点の見え方に順応するまで、個人差はありますが、数週間から1ヶ月程度かけて見え方に慣れていくケースもあります。単焦点IPCLは、術後比較的早い段階から安定した見え方を実感しやすい点が特徴です。
適応条件
IPCLは、すべての方に適応できる治療ではありません。単焦点IPCLの適応年齢は一般的に21歳〜45歳程度とされています。20歳未満では視力が安定していないことが多く、45歳を超えると老眼や白内障など、他の眼疾患が関与してくる可能性が高くなります。
近視の方は白内障を発症するリスクが高いとされ、60歳前後で白内障手術が必要になることも少なくありません。老眼が進行した50代で多焦点IPCLを挿入した場合、その後白内障手術が必要になると、一度挿入したIPCLを抜去する必要があり、「効果を感じる期間」が短くなる可能性があります。
そのため当院では、水晶体が残っている状態での多焦点IPCLは原則行っておりません。ただし、すでに白内障手術を終え、単焦点眼内レンズが入っている方に対しては、その上から多焦点IPCLを重ねる「アドオン(Add-on)」手術を行う場合があります。
単焦点レンズでの白内障手術後に「やはり手元もメガネなしで見たい」と感じた場合、アドオン手術により後から多焦点化することが可能です。水晶体が除去され、眼内レンズに置き換わっている状態での多焦点IPCLは、非常に高い満足度が期待できる治療です。
多焦点IPCLのメリット・デメリット
多焦点IPCLは、近視や乱視の矯正に加えて、老眼への対応も期待できる治療法です。一方で、すべての方に適しているわけではなく、メリットと同時に理解しておくべき注意点もあります。ここでは、多焦点IPCLの特徴をメリット・デメリットに分けてご説明します。
メリット
多焦点IPCLの最大のメリットは、近視と老眼を同時に補える可能性がある点です。遠くと近くの両方にピントが合う設計のため、メガネやコンタクトレンズへの依存を減らし、日常生活の利便性が向上することが期待できます。
また、角膜を削らない治療法であるため、ドライアイのリスクが比較的少なく、レーシックが適応外となった方でも選択肢となる場合があります。さらに、万が一見え方に馴染めなかった場合でも、レンズを取り出すことが可能な「可逆性」がある点は、治療を検討するうえでの安心材料といえるでしょう。
デメリット
一方で、多焦点IPCLは見え方の質に個人差が出やすい点がデメリットです。レンズの構造上、光を複数の焦点に分配するため、ハローやグレアといった現象、コントラストの低下を自覚することがあります。
特に夜間視力を重視される方には、不向きとなる場合があります。また、期待値を高く持ちすぎると、術後にギャップを感じる可能性があります。「遠くも近くも見えるが、単焦点レンズのような突き抜けた鮮明さはない」「全体的に前より見えにくく感じる」と表現される方もいます。
さらに、老眼補正には限界があり、細かい文字を長時間見る作業では、補助的に老眼鏡が必要となるケースもあります。
多焦点IPCLはどのような方におすすめ?
多焦点IPCLで満足度を高めるためには、ご自身の目の状態や生活スタイルに合っているかを慎重に判断することが大切です。
向いている方
・すでに白内障手術を受け、単焦点眼内レンズが入っている方
・白内障手術後、「遠くは見えるが手元は老眼鏡が必要」と感じている方
このような場合、多焦点IPCLを追加で挿入するアドオン(Add-on)手術が有効な選択肢となることがあります。水晶体がすでに除去されている状態では、多焦点IPCLの特性を活かしやすく、見え方の満足度が高くなる傾向があります。
向いていない方
・見え方のシャープさを最優先したい方
・夜間運転の頻度が高い方
・白内障が少しでも出てきている方
水晶体が残っている状態では、将来に白内障手術が必要になる可能性があります。そのため、長期的に見ると、IPCLよりも「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」の方が、視力の質や費用面でメリットが大きくなるケースがあります。
また、「近視も老眼も完全に治る」といったイメージをお持ちの方にも注意が必要です。多焦点IPCLは万能な治療ではなく、目的や期待と合っていない場合には、術後にギャップを感じ、満足度が低くなる可能性があります。また軽度であっても白内障がでてきている場合は多焦点IPCLで視力が改善しにくいので、注意が必要です。
多焦点IPCLを検討している方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

多焦点IPCLや老眼治療について、「自分の目にはどの治療法が合っているのか分からない」と感じている方は、まず専門的な検査と十分な説明を受けることが大切です。
京都市伏見区のももの木眼科では、水晶体が残っている状態での多焦点IPCL手術は原則として行っておりません。水晶体が残った状態では見え方が不安定になり、期待した満足度が得られないケースがあるためです。50歳前後で「近視も老眼も同時にしっかり治したい」とお考えの方には、当院では多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をご提案する場合があります。
患者様一人ひとりの目の状態やライフスタイル、ご希望を丁寧にお伺いしたうえで、最もメリットの大きい治療法をご案内いたします。LINEでのご予約・ご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。





