
目の病気としてよく耳にする「緑内障」と「白内障」。どちらも視力に関わる重大な疾患ですが、原因や症状、治療法は大きく異なります。
・緑内障:眼圧による圧迫によって、視神経が障害されて徐々に視野が狭くなったり、視力が低下したりする病気
・白内障:目の中のレンズにあたる「水晶体」が濁ることで、視界がかすんだり、光がまぶしく感じたりする病気
どちらも加齢が主な原因とされますが、若い方でも発症することがあります。発症の仕方や治療の目的は異なります。この記事では、「原因」「症状」「検査・診断」「治療法」「予後(経過)」の5つの観点から、緑内障と白内障の違いをわかりやすく解説します。併発するケースについても紹介します。
緑内障と白内障の違いは何?
緑内障と白内障は、どちらも40歳を過ぎた頃から発症しやすい代表的な目の病気です。どちらも視力に影響を及ぼしますが、起こる場所と原因の仕組みが異なります。
緑内障は、目の奥にある「視神経」が障害されることで、見える範囲(視野)が徐々に欠けていく病気です。眼圧が上昇することが一因とされ、進行すると視野が狭くなり、最悪の場合は失明に至ることもあります。
一方、白内障は、カメラのレンズにあたる「水晶体」が濁ってしまう病気です。視界がかすむ・ぼやける・光がまぶしい・色がくすんで見えるなど、ものがはっきり見えにくくなります。
どちらも加齢が主な原因ですが、緑内障は「視野の障害」、白内障は「かすみやまぶしさ」といった違いがあり、治療法や経過も大きく異なります。
緑内障とは
緑内障とは、目で得た情報を脳へ伝える「視神経」に障害が起こる病気です。視神経はカメラでいうとケーブルのような役割を持ち、ものを見るうえで欠かせない組織です。この視神経が障害されると、視野が徐々に欠けていき、放置すると失明に至ることもあります。
初期のうちは自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行するため、早期発見・早期治療が何より大切です。日本では40歳以上の20人に1人が発症しているとされ、中途失明の原因の第1位となっています。
緑内障の症状
緑内障の初期は、視野の一部が見えにくくなっても気づかないことが多くあります。両目で見ていると、欠けた部分をもう一方の目が補ってしまうため、自覚が難しいのです。進行すると、視野の欠けが広がり、周辺が見えにくくなる「視野狭窄」が起こります。
さらに進むと、見える範囲がトンネルのように狭くなり、最終的には失明に至る場合もあります。 また、急激に眼圧が上昇するタイプ(急性閉塞隅角緑内障)では、目の痛みや頭痛、吐き気、視界のかすみ、光のまぶしさなどの症状が突然現れることもあります。
緑内障の原因
目の中には「房水(ぼうすい)」と呼ばれる透明な液体が循環しています。房水は毛様体でつくられ、虹彩の裏側を通って前房へ流れ、繊維柱帯からシュレム管を経て排出されます。この流れが何らかの理由で滞ると、眼圧(目の中の圧力)が上昇し、視神経が圧迫されて障害を受けます。
眼圧の上昇は大きな要因ですが、正常な眼圧でも発症する「正常眼圧緑内障」も多く、日本人に特に多いタイプです。これは視神経がもともと弱かったり、血流が悪かったりすることで起こります。その他、加齢、遺伝、糖尿病、高血圧、強度近視、ストレス、喫煙などもリスクを高めるとされています。
緑内障の検査方法
緑内障の診断では、複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。
・眼圧検査:空気を当てるなどして眼圧を測定します。
・視野検査:どの範囲が見えているかを調べ、欠けの有無を確認します。
・眼底検査:視神経の形や損傷の程度を観察します。
・OCT(光干渉断層計)検査:視神経の厚みを画像化し、微細な変化を早期に見つけます。
これらの検査は痛みがなく短時間で終わります。40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的な検査を受けることが推奨されています。
緑内障の治療方法
緑内障の治療は「失われた視野を取り戻す」ことではなく、「進行を抑える」ことを目的とします。
最も一般的なのは点眼治療で、眼圧を下げて視神経への負担を軽減します。複数の薬を併用する場合もあります。薬で効果が不十分な場合には、レーザー治療で房水の流れを改善したり、手術で新しい排出路を作る方法が行われます。手術にはMIGS(低侵襲緑内障手術)やトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)などがあり、症状に応じて選択されます。
治療は長期間にわたるため、自己判断で中断せず、医師の指示に従って継続することが重要です。
緑内障の予防方法
緑内障を完全に防ぐ方法はありませんが、早期発見と進行抑制が最大の予防になります。40歳を過ぎたら、症状がなくても年1回程度の眼科検診を受けましょう。初期の段階では自覚症状がないので、早めの発見が何より重要です。早期で見つかった場合には重症化を防ぐことができますので、過度に心配する必要はありません。
白内障とは
白内障とは、目の中でレンズの役割を担う「水晶体」が濁ることで、視界がかすんだり、物が見えにくくなったりする病気です。水晶体は、外から入る光を集めて網膜に焦点を合わせる重要な組織ですが、加齢などの影響で濁りが生じると光が正しく通過しなくなり、見え方に異常をきたします。
進行すると瞳孔(黒目の中心)が白く見えることもありますが、初期のうちは自覚症状が少なく、疲れ目や老眼と勘違いされることも少なくありません。
白内障の症状
白内障の主な症状は、視界のかすみ、ぼやけ、光のまぶしさ(グレア)、視力の低下などです。晴れた日や夜間のライトが特にまぶしく感じたり、ものが二重・三重に見えることもあります。また、色の見え方が変わり、全体的に白っぽく見えたり、黄色みを帯びて見えるようになることもあります。
こうした症状は徐々に進行するため、気づかないうちに見え方が悪くなっている場合もあります。痛みや充血などの症状はほとんどないため、「最近見えづらい」「メガネを変えてもはっきりしない」と感じたら早めの受診が大切です。
白内障の原因
最も多いのは加齢による「加齢性白内障」です。早い人では40代から発症し、60代以上ではほとんどの人に水晶体の濁りが見られます。これは老化現象の一種であり、誰しもが加齢により発症する病気です。
そのほか、糖尿病やアトピー性皮膚炎、目の外傷、放射線被ばく、ステロイド薬の長期使用なども白内障の原因になります。まれに生まれつき発症する「先天白内障」もあります。紫外線や喫煙、栄養バランスの偏りなどの生活習慣も進行を早める要因とされています。
白内障の検査方法
白内障の診断には、視力検査や細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査)が行われます。スリットランプでは、目の中を光で照らし、水晶体の濁りの有無や程度を確認します。視力の低下が白内障によるものか、ほかの病気(緑内障・黄斑変性など)によるものかを見極めるために、眼底検査や屈折検査などを併用します。これらの検査は痛みがなく短時間で終わるため、気軽に受けられます。
白内障の治療方法
白内障の治療法は進行度によって異なります。初期の段階では点眼薬によって進行を遅らせることが可能ですが、一度濁った水晶体を元に戻すことはできません。見え方が悪化し、日常生活に支障をきたすようになった場合は、手術が唯一の根本的な治療となります。
手術では、濁った水晶体を超音波で取り除き、代わりに人工の「眼内レンズ(IOL)」を挿入します。最近では日帰り手術が主流で、短時間・低侵襲で行えるようになりました。眼内レンズには、単焦点タイプや遠近両用タイプなどがあり、ライフスタイルに合わせて選択が可能です。
白内障の予防方法
白内障を完全に防ぐことはできませんが、発症や進行を遅らせることは可能です。紫外線を避けるために帽子やサングラスを使用し、喫煙を控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。特にビタミンC・Eなどの抗酸化作用をもつ栄養素は、水晶体の老化を防ぐ効果があるといわれています。
また、糖尿病などの全身疾患がある場合は血糖コントロールをしっかり行うことが大切です。定期的な眼科検診によって濁りの進行をチェックし、視力や生活に支障が出る前に治療を検討することが、白内障と上手に付き合うポイントです。白内障は手術で治癒が可能な病気ではありますが、前述したような日常的な予防対策をおすすめします。
緑内障と白内障が併発することはある?
緑内障と白内障は、どちらも40歳を過ぎてから増える病気で、同時に発症・進行することがあります。
白内障は目の中の「水晶体」が濁る病気、緑内障は「視神経」が障害される病気ですが、白内障が進行して水晶体が膨らむと、房水の流れを圧迫して眼圧を上昇させ、緑内障を悪化させる原因になることがあります。
このような場合、白内障手術で分厚くなった水晶体を取り除くことで眼圧が下がり、視野の進行を抑えられるケースもあります。
一方で、緑内障が進行している患者さんでは、術後の眼圧変化に注意が必要です。
そのため、白内障と緑内障を併発している場合は、両方の状態を同時に管理しながら、視力と視野を守るための最適な治療方針を立てていくことが重要です。
緑内障や白内障について不安のある方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

「もしかして緑内障かも…」「最近視界がかすむ」「光がまぶしく感じる」といった不安をお持ちの方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。
当院では、日本眼科学会眼科専門医である理事長が緑内障の早期発見から治療・手術までを丁寧にサポートしています。さらに、白内障に対しても日帰り手術に対応しており、最新の検査機器を用いて一人ひとりの症状や生活に合わせた最適な治療をご提案いたします。
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