
「最近、少し視界がかすむ」「視野が狭くなった気がする」「あるはずのものが見えていなかった」などということはないですか?もしかしたら、それは緑内障のサインかもしれません。緑内障は周辺部から視野が徐々に欠けて、見えない範囲が広がってくる病気です。40歳以上では20人に1人が緑内障になると言われています。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、静かに進行していくため、「サイレント・シーフ(静かな泥棒)」とも呼ばれています。一度失われた視野は、現在の医療では治すことができません。だからこそ、緑内障は早期発見と早期治療が非常に重要です。
この記事では、緑内障の検査方法、費用や時間、ご自身でできるセルフチェック、そして治療法について詳しく解説します。緑内障について正しい知識を得て、大切な目の健康を守りましょう。
緑内障の検査方法5つ
緑内障の診断は、眼圧、視神経の状態、視野などを多角的に調べるために、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。ここでは、緑内障の診断に用いられる代表的な5つの検査について、その目的や特徴を解説します。
眼圧検査
眼圧検査は、目の中の圧力(眼圧)を測定する緑内障の基本的な検査です。眼圧が高い状態が続くと、視神経が圧迫されてダメージを受けやすくなります。最も一般的なのが「非接触型眼圧計」で、空気を「プシュッ」と当てて角膜のへこみ具合から眼圧を測定します。コンタクトレンズをご使用の方は眼科で経験したことがあるかもしれません。痛みはほとんどなく、短時間で終わる簡単な検査です。
より精密な検査が必要な場合は、局所麻酔をして、角膜に直接触れる「接触型眼圧計」を使うこともあります。ただし、正常な眼圧でも緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」が日本人に多いため、眼圧検査だけで緑内障を判断することはできません。
隅角検査(ぐうかくけんさ)
隅角検査は、隅角がどのくらい開いているか、異常がないかを調べます。隅角とは、角膜と虹彩(茶目)の間にある、眼圧を保つための房水(ぼうすい)という液体が流れ出る出口部分のことです。房水の流れが悪くなると眼圧が上昇します。この検査では、点眼麻酔をした後、専用のレンズを使用し、隅角の広さや閉塞の有無を調べます。
これにより、緑内障のタイプが「開放隅角緑内障」か「閉塞隅角緑内障」かを診断できます。閉塞隅角緑内障は急激な眼圧上昇を招き、急性緑内障発作を引き起こすこともあるため、早期発見が特に重要です。
眼底検査
眼底検査は、瞳孔を通して眼球の奥にある網膜や視神経の状態を直接観察する検査です。専用のレンズや眼底カメラを用いて目の奥を観察し、視神経へのダメージの有無を確認します。検査後にしばらくまぶしさを感じることがありますが、痛みはありません。緑内障が進行すると、視神経がダメージを受け、その出入り口である視神経乳頭の凹みが拡大するといった変化が現れます。この変化を直接捉えることで、緑内障の診断や進行度の判定を行います。
視野検査
視野検査は、見える範囲(視野)に異常がないか、欠けている部分がないかどうかを調べる緑内障の確定診断、進行度の判定に必要な検査です。緑内障では、初期に視野の一部に欠けや見えにくさが現れますが、自覚しにくい視野欠損も、検査によって明らかにできます。
代表的なのは「静的視野検査」で、暗い部屋で光の点が見えるかどうかを確認します。片目ずつ装置の中心にある印を見つめたまま、周辺に出現する小さな光が見えたらボタンを押して知らせます。集中力が必要な検査ですが、病気の進行状況を把握する上で非常に重要です。
OCT検査(光干渉断層計)
OCT検査は、網膜や視神経の断面を撮影し、その厚みを精密に測定する検査です。近赤外線を使い、目に触れることなく短時間で撮影でき、痛みもありません。緑内障が進行すると、網膜の神経線維層が薄くなります。OCT検査では、この厚みの変化をμm(マイクロメートル)単位で捉えることができるため、視野異常が出る前のごく初期の変化を捉えることも可能です。緑内障の早期発見と経過観察において、非常に有用な検査です。
緑内障の検査にかかる費用
緑内障の検査は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、初診で一通りの検査を行った際の費用は、おおよそ3000~5000円程度が目安となります。緑内障の検査には、いくつかの検査を組み合わせて行うことが多く、検査内容によって費用は異なります。
当院では閉塞隅角緑内障や開放隅角緑内障の検査として、隅角の開大度や角度などを詳細に評価することができる医療機器を導入しており、患者さまの症状に合わせた検査を提供できる体制を整えています。ご不安な場合は、LINEまたはWeb予約時に事前に確認されると安心です。担当スタッフが検査内容と費用の目安を丁寧にご案内いたします。
緑内障の検査にかかる時間
緑内障の検査にかかる時間は、実施する検査の種類や組み合わせによって異なりますが、全ての検査を行う場合は、30分程度が目安です。眼圧検査や眼底検査、隅角検査は比較的短時間で終わりますが、視野検査やOCT検査などは検査機器の説明や準備も含めて時間がかかる場合があります。
当院では、緑内障の患者様で定期的な通院が必要となる場合は、緑内障の専門医である理事長による特別な予約枠を用意していますので、検査・診察ともほとんど待ち時間なく受けていただけます。初診の場合は、少し待ち時間が出る場合があります。
緑内障のセルフチェック方法
緑内障は自覚症状が出にくいため、定期的な眼科検診が重要ですが、ご自宅でできる簡単なセルフチェックもあります。「病院に行く時間がすぐに取れない」「いきなり眼科を受診するのは不安」と感じる方は、まずはセルフチェックから始めてみましょう。
【セルフチェックの手順 】
1. 30cmほど離れた位置から片目を手で隠し、もう片方の目で中心にある【星/双葉】を見つめます。
2. そのまま、下記の項目をチェックします。
a. マス目が欠けて見える部分はありませんか?
b. マス目が歪んで見えたりしませんか?
c. 一部分が暗く見えたり、かすんで見えたりしませんか?
3. 反対の目も同様に確認します。
※右目で見たときにR点、左目で見たときにL点が見えなくなるのは、「マリオット盲点(生理的暗点)」によるものです。異常ではありませんのでご安心ください。
もし、このセルフチェックで当てはまる項目があった場合は、早めに眼科を受診しましょう。こちらはあくまで簡易的なチェック方法であり、正確な診断は眼科での精密検査が必要です。40歳を過ぎたら、症状がなくても一度は眼科で検査を受けておくことが、失明を防ぐための大切な一歩になります。
緑内障の種類
緑内障にはいくつかの種類があり、原因や隅角の状態によって分類されます。最も多いのが「原発開放隅角緑内障」で、房水の出口である線維柱帯が目詰まりし、房水の流れが悪くなることで眼圧が上昇します。ゆっくりと進行する慢性の緑内障です。日本人に多い「正常眼圧緑内障」もこのタイプに含まれ、自覚症状が少ないのが特徴です。
また、「原発閉塞隅角緑内障」は、隅角が狭くなり房水の流れが妨げられることで急激に眼圧が上昇します。突然の目の痛みや頭痛、視力低下などを伴うことがあり、早急な治療が必要です。
その他、「続発緑内障」は他の病気や外傷やステロイド薬の使用などが原因で発症するもので、「発達緑内障(小児緑内障)」は先天的な異常によって幼少期から発症します。種類によって治療法や注意点が異なるため、専門医による早期の正確な診断が重要です。
緑内障の治療方法
緑内障の治療は、眼圧を下げて視神経へのダメージを防ぐことが目的です。主な治療法は「目薬」「レーザー治療(SLT)」「手術」の3つです。
まずは点眼薬による薬物療法が基本で、目薬によって眼圧を下げて、緑内障の進行を防ぎます。様々な種類の緑内障の目薬があり、症状に合わせて1個ないし複数の緑内障の目薬を組み合わせて使用します。ただし副作用や継続の負担がある場合もあります。
次に、毎日目薬をさすのが難しかったり、緑内障の目薬の副作用が辛い方は、レーザー治療(SLT)が選択されます。線維柱帯にレーザーを当てることで、房水の通りをよくして、目の中の水の量を減らして眼圧を下げる治療です。短時間で済み、日常生活への制限も少ないのが特徴ですが、費用が高額です。
それでも眼圧の下降が難しい場合は、手術が検討されます。白内障手術と同時に行える比較的リスクの低い手術から、ハイリスクな手術まで、さまざまな選択肢があります。また、閉塞隅角緑内障というタイプの方は、白内障手術をすることで発作の予防や眼圧を下降させることができるので、通常より早めに白内障手術をすることがあります。
緑内障の検査を検討されている方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

緑内障は早期発見が何よりも重要な病気です。「見え方が気になる」「家族に緑内障の人がいる」「40歳を過ぎた」そんな方は一度検査を受けてみたほうがよいかもしれません 。
ももの木眼科では、最新の医療機器を導入し、精密検査を通じて、正確な診断と丁寧な説明を心がけています。不安な気持ちに寄り添い、患者さまに合った治療やサポートをご提案いたします。
緑内障の検査を検討されている方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。LINEからの予約・お問い合わせも可能です。あなたの目の健康を守る第一歩、どうぞお気軽にお問い合わせください。