
大学生の間でも「眼科で受けられる視力矯正手術」として注目されている手術としてICL手術があります。強度の近視や乱視でも、高い矯正精度で裸眼視力を安定させ、メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されるメリットがあります。
しかもレーシックのように角膜を削らず、万が一の場合はもとにもどせる可逆性を備えている点が大きな魅力です。一方で、大学生活のスケジュールや費用、術前検査・術後ケアの必要性、術中・術後の眼圧管理や感染予防など、知っておくべき注意点も少なくありません。
本記事では「大学生はICL手術を受けられるのか」「どんなメリット・注意点があるのか」をわかりやすく解説します。
大学生でもICL手術は受けられる?
大学生がICL手術を受けられるかどうか、まずは「年齢」と「目の状態」の2点からご説明します。ICL手術は18歳以上で近視が安定していることが基本条件です。大学生の多くは20歳前後にあたり、年齢面では適応内です。
しかし、視力の成長期がまだ続いている場合や、目の構造に問題があるケースでは受けられないことがあります。
1.ICL手術の適応年齢
下限18歳:近視度数が安定するため、成長期の子供はICL手術を受けられない。ガイドライン上の下限は18歳にはなっていますが、実際には20歳以上を推奨する施設が多いです。
上限45歳程度:老眼の影響を考慮し、45歳程度までを目安としています。老眼や白内障リスクが高まる世代は、別の治療(多焦点眼内レンズを用いた白内障手術など)が選択肢に入ってきます。
大学生は18歳以上なのでガイドライン上の年齢基準ではICL手術を受けることができます。しかし実際には20歳上でかつ、近視の進行が止まっているということが条件になります。
2.大学生でもICL手術を受けられない場合があります
以下のようなケースでは、年齢要件を満たしていても適応外となります。
近視が軽度(−3D未満)
日本で承認されているICLレンズは−3.0D以上を対象としており、軽度近視はレーシックやオルソケラトロジーが適応となります。
遠視の場合
日本で承認されているICLレンズは遠視に対応しているものは存在しません。
目の病気がある場合
緑内障、白内障、円錐角膜など、ICL手術をしても十分な視力が出ない可能性がある病気がある場合は手術の適応にはなりません。
妊娠中
ホルモンバランスによる屈折変動や、点眼薬の胎児・乳児への影響を避けるため手術は避けたほうが無難です。
前房深度が浅い(2.8mm未満)
眼内スペースが狭すぎてレンズを入れることができません。
大学生がICL手術を選ぶ理由
1.視力低下により学業へ影響がある
大学では講義資料や黒板、スクリーンなどを遠くから読む機会が増えます。視力が低下すると、板書を写すために教室の前列へ移動したり、ノートへの書き写しに時間がかかり、授業内容の把握が遅れることがあります。
メガネやコンタクトレンズによって視力は改善しますが、近視があまりに強いとメガネでは十分な視力が得られないこともあり、コンタクトレンズも目の調子によっては使用できないこともあります。ICL手術によって裸眼視力が安定すれば、いつでも視力良好になりますので、学業にもよい影響があります。
2.視力低下によりスポーツに影響がある
ICLは裸眼で1.0以上の視力が期待でき、眼鏡やコンタクトに起因するずれ・曇り・脱落の心配も解消されます。常にベストな視界が確保できるため、スポーツにも非常に便利です。
また水泳などの一部メガネやコンタクトレンズが使用できないスポーツもあるので、そういった場合にもICL手術が選ばれることが多いです。
3.メガネやコンタクトが不便と感じる
大学生は講義の合間に移動やアルバイト、サークル活動など多忙です。メガネは重く、鼻や耳への負担がありますし、激しい運動や雨天時の曇りが気になります。コンタクトは長時間装着によるドライアイや目の充血、ケア用品の管理が手間です。
特に試験期間中やサークル遠征では、コンタクトケアを怠って結膜炎や角膜炎が起こってしまうことがよくあります。ICLは一度の手術でメガネ・コンタクトから解放され、日常の煩わしさが大幅に減少。起床後すぐにクリアな視界で行動でき、着替えや荷物の負担も軽くなります。
大学生がICL手術を受ける際の注意点
大学生がICL手術を受ける際には、視力回復のメリットと同時に、以下のような注意点をしっかり把握しておくことが大切です。
1.費用
ICL手術は自由診療のため、保険適用外で両眼60〜70万円が相場です。大学生の多くはアルバイトの収入で生活しているため、一度に支払うのは大きな負担となります。
院内で提携している医療ローンやクレジット分割が利用できるかどうか、金利や手数料を含めてしっかり確認しましょう。費用が安いところでは、国内未承認のICLを使用している場合もあるので注意が必要です。
2.スケジュール
ICL手術を受ける場合のスケジュールは概ね以下のようになります。
・Web予約→来院カウンセリング→術前検査(1.5~2時間)
多くの施設ではソフトコンタクト装用の場合は検査の1週間ほど前、ハードコンタクトは2週間ほど前からの装用休止をルールとしています。
当院ではICLのWEB相談を実施しているので、カウンセリングに関しては来院しなくても行うことができますが、ほとんどの施設では来院してのカウンセリングが必要です。
・手術当日
片眼10分以内、両眼でも30時間以内で終了します。
・術後フォロー
翌日検診、1週間、1ヶ月後は必須で、以後は状態により受診のタイミングは変わります。
ICLを実施している施設は基本的に土日に受診できることが多いですので、授業とは重ならないようにできるでしょう。
春休み・夏休みなどの長期休暇中に手術を行うのが理想的ではありますが、土曜日の手術に対応している施設も多いので、その場合は日曜日に翌日受診して、月曜日には学校に出席することができます。
3.術後の生活
ICL手術後は、術創の治癒と感染予防が最優先です。
・目をこすらない・保護メガネが必要
術後1週間は無意識に目を触らないよう、保護メガネやガードグラスを活用しましょう。就寝中の無意識なこすりも防げます。
・点眼の徹底
抗菌・抗炎症の点眼を指示通りに行い、感染や炎症を防ぎます。
・スマホ・PCの使用制限
術後3日程度は控えめにしましょう。まばたきが減って目が乾いてしまうと感染の危険が高まります。
・洗顔・入浴・メイク
術後3日間は顔を濡らさない、アイメイクは1週間NG。4日目以降も目の周りは避けて優しく洗顔し、化粧は目から5mm以上離して行うことが大事です。
・運動・サークル活動
術後1週間は軽いウォーキングまで、球技などの運動は10日程度控えましょう。接触プレーの多いスポーツや水泳は術後1ヶ月以降にしてください。
・飲酒・アルバイト
飲酒は術後1週間程度避け、勤務時間も目の疲れを考慮して短いシフトを選ぶとよいでしょう。
・運転・通学
翌日検診で裸眼1.0以上を確認できればバイクや自転車での通学・通勤は可能です。
大学生がICL手術を受けるリスク
大学生がICL手術を受ける際は通常必要となる注意と大きくは変わりませんが、以下に注意点をまとめます。
1. 感染症(眼内炎)のリスク
最も注意しなければならない感染症です。ICLは目の中にレンズを挿入する外科手術なので、術後1週間は傷口から細菌が侵入しやすくなります。眼内炎は発症率0.0167%程度ですが、重症化すると視力に深刻な影響を及ぼすため、術後の抗菌点眼や保護メガネの装用、こすらないケアが必須です。
大学生は活動性が高いため、見えるようになるとアクティブに色々したくなりますが特に術後1週間程度は自制するようにしてください。
2. 近視の進行
大学生はほとんどの場合20代前半なので、その後、数年かけて近視が進行する場合があります。それを見越してやや強めのレンズを選択する場合もありますので手術を受ける施設でよく相談する必要があります。
近視が進行して視力が下がってしまった場合はレンズの交換手術が必要になることもあります。
3. 乱視軸ズレ
ICLは虹彩の裏に固定しますが、激しい衝撃や個人差でレンズが回転・移動することがあります。特に乱視用レンズは角度がずれると視力が低下するため、再手術でレンズ位置を微調整しなければなりませんので術後管理が終了した後も頭部に激しい衝撃を受けることは避けた方がよいです。
4. 術後ケアと生活制限
大学生は授業・サークル・アルバイトで忙しくなりがちですが、術後1週間はスマホやパソコンを短時間に制限し、入浴や運動も休止期間があります。スケジュール調整が難しいと、ケアを怠ってリスクが高まる恐れがありますので自制が必要です。
大学生がICL手術を受けるメリット
1. 裸眼視力の安定的向上
ICLは角膜を削らず、目の中にレンズを挿入するため強度近視や乱視でも1.0以上の裸眼視力が期待できます。メガネ、コンタクトよりもさらに良好な視力が得られることも多いので、講義資料やスクリーンをクリアに視認できます。
2. メガネ・コンタクトからの解放
メガネのフレームやコンタクトの乾燥・汚れ、管理の煩わしさがなくなります。サークル活動やアルバイト、旅行先での煩雑なケアを避けられ、起床直後からクリアな視界で動き出せるため、大学生活がよりアクティブになります。
3. スポーツ・課外活動でのパフォーマンス向上
球技や陸上、水泳など視界の変化がパフォーマンスに直結する競技でも、レンズずれや曇りの心配なく全力プレーが可能ですし、運動中の眼鏡破損やコンタクト脱落リスクも一掃できます。
4. ドライアイ悪化リスクの低減
レーシックと異なり角膜を削らないため、知覚神経の損傷がなく術後ドライアイが起こりにくいという特長があります。コンタクトレンズの使用も不要になるため、長時間のPC作業や読書でも目の疲れ・不快感を抑制できます。
5. 可逆性・将来的な安心感
ICLはレンズの摘出・交換が可能で、将来の白内障手術時にも問題なく対応できます。不可逆なレーシックと異なり、「万一合わなかったら元に戻せる」という安心感があります。
6. 長期コストの節約
手術費用は両眼で60〜70万円程度と一時的に大きな出費ですが、長年にわたるコンタクトやケア用品の購入費用を考えると、10年20年単位ではむしろ経済的メリットが期待できます。特に大学生の場合は20代前半なのでこのメリットは大きいです。
大学生でICL手術をご検討中の方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICL手術は、「近視・乱視が強い場合でも高い矯正精度を実現し、メガネやコンタクトの不便から解放される」といった大きなメリットがある一方、術前の丁寧な検査や術後のケアが欠かせません。大学生活の忙しさのなかで「本当に自分に合うのか」「費用やスケジュールは大丈夫か」など、不安や疑問をお持ちの方も多いです。
ももの木眼科では、来院不要のWEB相談会を実施しています。専用の遠隔診療ツールで症状やご要望をヒアリングし、適応可否から料金、術後の生活まで、詳しく説明させていただきます。WEB相談は遠方の方や授業・アルバイトの合間でもご参加いただけます。
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