
ICL手術は、近視や乱視を矯正するために眼内にレンズを挿入する屈折矯正手術で、レーシックとは異なり角膜を削らない点が特徴です。視力の回復効果が高く、安全性も確立された治療法として人気を集めていますが、術後のケアには細心の注意が必要です。
特に「目をこする」という行為は、感染症やレンズの位置ズレなど重大なリスクを招く可能性があります。この記事では、ICL手術を受けた直後に目をこすってはいけない理由を医学的にわかりやすく解説し、術後の日常生活で気をつけるべきポイントを具体的にご紹介します。
「どのくらいの期間、目を触ってはいけないの?」「かゆくなったらどうすればいい?」といった疑問にもお答えしますので、これから手術を受ける方や術後の過ごし方が不安な方は、ぜひ参考にしてください。
ICLの手術直後は目をこすってはいけない
ICL手術を受けた直後は、絶対に目をこすってはいけません。ICL手術とは、視力を矯正するために専用のICLレンズを目の中に挿入し、安定させる手術です。この手術では、レンズや器具を目の中に挿入する必要があるため、そのための小さな切開、つまり目の表面に小さな傷をつけることになります。この切開部はとてもデリケートで、完全に治癒するまでには時間がかかります。
もしその傷口からばい菌が入ってしまうと、確率は低いですが眼内炎と呼ばれる非常に重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。したがって、手術後はできる限り目に触れないように注意することがとても大切です。
特に、術後最初の1週間は感染リスクが高いため、目に手が触れないよう細心の注意を払いましょう。まばたきや涙が気になるかもしれませんが、無理に触れたり、こすったりするのは控えてください。手術から1ヶ月が経過すると、目の状態も安定し、少しくらい目をこすってしまっても問題はありません。
しかし、そもそも目をこするという行為自体が目の健康にとって良くない習慣ですので、手術を受けていない人でも、なるべく目をこすらないよう心がけるのが望ましいでしょう。
ICLの手術後に目をこすらないために
ICL手術は、視力回復を目的とした屈折矯正手術で、安全性が高い手術といわれています。しかし、手術後の目のケアを怠ると、感染や炎症、視力低下などのリスクが高まる可能性があります。特に目をこすったり触ったりすることは避けなければいけません。ここでは、目をこすらないための工夫とともに、日常生活で注意すべき点を項目ごとにまとめました。
手術後のデリケートな目を守るために、「保護メガネ」の使用が推奨されます。これは外部からの刺激や不意な接触を防ぎ、無意識のうちに目をこすったり触ったりすることも防止できる重要なツールです。
【保護メガネのポイント】
装着のタイミング:特に就寝時や外出時に着用すると効果的です。寝ている間に無意識に目を触ってしまうことはよくあるので、これを防ぐことができることは非常に重要です。
装着期間:医師の指示に従い、術後1週間程度は継続して使うのが一般的です。
清潔を保つ:保護メガネも定期的に清掃し、清潔を保ちましょう。埃を取る程度で十分です。
その他、日常生活での制限
術後の目を守るためには、以下のような日常生活での制限や注意点を守ることが大切です。
1. 目をこすらない習慣づけ
目がかゆくても、こすってはいけません。術後の目薬の中にかゆみを抑える成分が入っているものもありますので、そちらを使用していただくのがよいです。
手が顔に触れる癖がある人は、特に術後1週間の間は保護メガネを使用するのがよいです。これにより無意識に目をこすってしまうことを防げます。
2. 洗顔・シャワー
手術当日は、顔を濡らさないように注意します。
翌日からは、目元を避けて優しく洗顔。シャワーも目に直接水が入らないように気をつけましょう。
3. メイク・スキンケア
アイメイクは、1週間程度控える必要があります。
洗顔後のスキンケアも、目のまわりは優しく扱ってください。
4. 運動・入浴・飲酒
激しい運動やサウナ・長風呂は、術後1週間ほど避けましょう。
飲酒も炎症を引き起こす可能性があるため、医師の許可が出るまでは控えるのが安心です。
5. パソコンやスマホの使用
術後1〜2日は近くを見るときに痛みがでることもあるので、できるだけ目を休ませる時間を多くとり、画面の使用は控えめにしましょう。使用する際は画面の明るさを落とし、こまめな休憩を入れるのが望ましいです。
ICLの手術後に目をこすると感染症になる?
ICL手術後に目をこすると感染症のリスクが高まります。手術直後の目は非常にデリケートな状態であり、目をこすることで手や指に付着した細菌やウイルスが眼内に入り込みやすくなります。
特に、ICLは眼内に人工レンズを挿入する手術ですので、バリア機能が一時的に低下している状態です。そのため、通常であれば問題にならないような細菌でも、炎症や感染を引き起こす可能性があります。また、目をこすることによって、角膜や結膜に傷がついたり、手術で挿入したレンズの位置がズレたりするおそれも、わずかながらあります。
術後は医師の指示をしっかり守り、目をこすらないように意識することがとても重要です。不安な場合は、保護メガネをつけて物理的に触れないようにしたり、目のかゆみがある時は専用の目薬を使用するのがよいです。術後に心配な症状があるときは、自己判断せず、早めに手術を受けたクリニックへ相談してください。
ICLのレンズが眼内で割れることはほぼない
ICL手術で挿入されるレンズは、非常に柔軟で耐久性の高い素材でできており、目をこすった程度で割れることはまずありません。ICLレンズは、「コラマー」と呼ばれる特別な素材で作られており、折りたたんで目の中に挿入できるほどしなやかで柔らかい構造をしています。このため、外からの多少の圧力や衝撃では割れることはまずありません。
ただし、強く目を押し込むようにこすったり、目に外傷を与えたりすると、レンズに影響が出る可能性もゼロではありません。特に乱視用のICLレンズでは、レンズの方向が回転して動いてしまうと視力が低下してしまいます。このような事態を防ぐためにも、手術後はなるべく目を触らないほうがよいです。
ICLのレンズが眼内でズレた・回転した場合
ICLレンズが眼内でズレたり回転してしまった場合でも、適切な対処を行えば視力を回復させることが可能です。
ICLレンズは、眼内で安定するように設計されていますが、強い衝撃があった場合位置がズレたり、特に乱視矯正用ICLでは回転が起こることがあります。このような場合、視力が急にぼやけたり、左右差を感じることがあります。
レンズの位置異常が確認された場合、再手術によってレンズを正しい位置に戻す処置が行われます。レンズの位置がズレた場合には固定し直す手術、乱視用レンズが回転した場合には、位置を修正する手術で、どちらも非常に短い時間で終わる手術で危険性は低いです。ズレや回転を防ぐためには、術後の過ごし方が非常に重要です。
ただし、レンズの位置ズレに関してはよほど強い衝撃がないとおこりませんし、回転についても頭部に衝撃をうけるスポーツなどをしている方以外では、ほとんど生じません。
ICLの手術後に目のかゆみ・痛みがあったらどうすれば良い?
痛みを感じる場合
手術後に一時的な痛みを感じることがありますが、多くの場合は自然に治まり、特に心配のいらない軽度な反応です。しかし、痛みが続く場合や、痛みに加えて目の充血、視界のぼやけ、かすみなどの症状を伴う場合は注意が必要です。
こうした症状は、まれではありますが、感染症や眼圧上昇などの重篤な合併症の兆候である可能性があります。
このような場合は、できるだけ早く手術を受けた医療機関を受診してください。
かゆみを感じる場合
手術後に目のかゆみを感じる方もいらっしゃいますが、これは重大な異常や合併症のサインではないため、過度に心配する必要はありません。術後に処方される目薬の中には、かゆみを軽減する成分が含まれているものもありますので、医師の指示に従って目薬を正しく使用すれば、多くの場合かゆみは自然におさまっていきます。 かゆいからといってこすらないようにだけ気をつけてください。
万が一、ICLが合わないと感じた際には外すことも可能
ICLは、視力矯正手術の中でも「可逆性」があることが大きな特徴のひとつです。ですので、万が一合わないと感じた場合には、レンズを取り出すことが可能です。この点がレーシックとの大きな違いにもなっています。
手術後に「見え方が合わない」「異物感がある」「ハローやグレアが気になる」などの不快な症状を感じることがありますが、まずは経過を見ながら医師の診察を受けることが大切です。多くの場合、こうした症状は時間の経過や目薬によって改善していきますが、どうしても合わないと感じた場合には、レンズの摘出手術が選択肢となります。
ICLは非常に柔らかい素材でできているためレンズの取り出しは、それほど難しくありません。このようにICL手術は元の状態に戻すことができるため、「一度入れたらもうもとには戻せないのでは?」という不安を感じている方にも安心して選択していただける治療法です。
ICL手術にご不安がある方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICL手術は、高い視力回復効果と安全性が魅力の治療法ですが、術後の過ごし方によって結果が大きく左右されます。特に目をこすらないようにすることは、感染や合併症を防ぐうえでとても重要です。ICL手術を受ける場合には、今回ご紹介したポイントを参考に、術後のケアをしっかり行いましょう。
もし「自分にICLが合うのか不安」「術後の生活が心配」「もっと詳しく聞きたい」といった疑問や不安がありましたら、京都市伏見区のももの木眼科までお気軽にご相談ください。当院では、丁寧なカウンセリングとわかりやすい説明を大切にしています。LINEでの簡単予約やオンライン相談もご利用いただけます。お気軽にお問い合わせください。