
「ICL手術に興味はあるけれど、もしなにかあって後遺症が残ったら…」と不安に感じている方は少なくありません。目の手術ということもあり、「本当に安全なのか?」「後で困ることはないか?」と慎重に検討されるのは当然です。現在のICL手術は、技術の進歩により、手術自体は高い安全性が確保されており、術後のトラブルも起こる確率は低くなっています。
ただし、ゼロではありません。稀に感染症やレンズのずれ、過矯正などが生じる可能性があり、術後のケアや医師の技術も大切な要素となります。この記事では、ICL手術で起こりうる後遺症やそのリスク、対処法についてわかりやすく解説しています。安心してICLを検討できるよう、参考にしてください。
ICL手術で後遺症が残る可能性はある?
現在のICL手術で後遺症が残る可能性はほとんどありません。しかし、リスクが全く無い手術は存在しませんので、可能性がゼロという訳ではありません。
後遺症は、手術中におこる合併症による後遺症と、手術後起こる合併症による後遺症の大きくふたつに分られます。
具体的な内容は後述させていただきますが、このうち手術中におこる合併症を防ぐには、ICL認定施設でICL認定医による手術を選択することが重要です。術後の合併症について後遺症が残るようなものに関しては、術後の目薬などのケアが重要になります。術後のケアをしっかりできる状態であればこちらも過度に心配する必要はありません。
ICL手術によって起こりうる後遺症・合併症
後遺症は大きく分けて、2つに分類されます。
・手術中におこる合併症による後遺症
・手術後起こる合併症による後遺症
黒目の部分を角膜といいますが、その内側には角膜内皮というものがあります。この部分は目の透明性を保つために重要な働きをしていますが、ICL手術によってこの角膜内皮が障害を受けてしまうことがあります。しかし、実際に目の中に挿入するICLと角膜内皮の間には距離があるので、ICL認定医による手技で角膜内皮の障害がおこることはほとんどありません。
手術中に起こる合併症による後遺症
ICL手術は、目の中にICLを挿入して固定する手術です。それゆえ手術中の操作で目の中の重要な部分に障害が起こる可能性が全く無い訳ではありません。そのため、ICL認定医が所属しているなど信頼できる医療機関で手術を受けることをおすすめします。
角膜内皮の障害
黒目の部分を角膜といいますが、その内側には角膜内皮というものがあります。この部分は目の透明性を保つために重要な働きをしていますが、ICL手術によってこの角膜内皮が障害を受けてしまうことがあります。しかし、実際に目の中に挿入するICLと角膜内皮の間には距離があるので、ICL認定医による手技で角膜内皮の障害がおこることはほとんどありません。
水晶体の障害による白内障
目の中には水晶体というレンズの役割をする部分がありますが、その部分にICL手術で傷がついてしまうと白内障が起こることがあります。ICLはこの水晶体の上に乗ることになりますが、日本で採用されているICLは、非常に柔らかいため水晶体を傷つけることはありません。またICL認定医による手術であれば、手術中の操作によって水晶体に傷がつくということはほとんどないでしょう。
手術後に起こる合併症・後遺症
ICL手術は安全な手術と言われていますが、術後に合併症・後遺症が起こる可能性はゼロではありません。以下にICL手術後におこる可能性がある合併症・後遺症について解説させていただきます。
感染症
感染症はICL手術後に最も注意しなければならない合併症で、目の中に細菌が入って起こるものです。感染症が起こると、ICLを抜去して目の中を洗った上で、抗菌薬を用いた治療が必要になります。適切な対応をすれば後遺症が残ることはないですが、早めの対応が必要です。
ハロー・グレア現象
ICL手術後に必ず起こる現象です。光が滲んで見えたり、光源の周りに輪っかが見えたりします。特にICL手術では、光の輪が見えるようになる現象は必ず起こります。手術後、この見え方自体が変わることはありませんが、しばらくすると慣れて気にならなくなることが多いです。
眼圧の上昇
ICL手術後に目の中の圧力である眼圧が上昇することがあります。目の中の水の流れが悪くなることで起こりますが、現在日本で承認されているhole-ICLでは長期的な眼圧上昇はほとんど起こりません。
過矯正
ICLのレンズ度数が強すぎると過矯正という状態になります。簡単にいうと目が見えすぎて疲れるという状態で、ひどい場合は頭痛や吐き気を伴うこともあります。術前検査と手術前のレンズの度数相談をしっかり行えばほとんど起こりませんが、もし起こった場合はレンズの入れ替えをしてICLレンズの度数を変更する必要があります。
傷口の炎症
ICL手術は目の中にICLレンズを入れる手術ですので、レンズや手術器具を入れるために目の一部を切開する必要があります。手術時につくった傷口に炎症が起こることがありますが、適切に目薬を使用することで改善しますので、後遺症が残ることはありません。
レンズの回転・度数ズレ
乱視用のICLレンズは決まった向きで固定されることで、乱視矯正の効果を発揮します。これが術後なんらかの原因によって回転して向きが変わってしまうことがあります。この場合は、レンズの向きを修正する手術が必要になります。レンズを入れ替える訳ではないので、それほど目に負担がかかる手術ではありません。
しかし、まれにレンズの度数が大きくズレて過矯正になったり近視が残ってしまうことがあります。ほとんど無いことですが、大きくズレた場合はレンズの入れ替えが必要になります。
ICL手術によって後遺症・合併症が起こってしまう原因
手術中の操作が原因で後遺症が起こる場合としては、手術器具やICLレンズが目の中の繊細な部位に当たってしまうことにより起こります。しかし、ICL認定医による手術であればこういったことで合併症が起こり、後遺症が起こることはほとんどないでしょう。
術後の合併症で後遺症が残るものには眼内炎がありますが、こちらは目の中に細菌が入って感染症が起こるものなので、術後に目が不潔な状態になったり、目薬をしっかりできていなかった場合に起こります。
ICLを取り出す際に起こりうる後遺症・合併症
ICLを取り出す際に起こりうる合併症・後遺症については、ICL手術そのもの合併症・後遺症とほぼ同じと考えていただいてよいですが、取り出す場合だけ少し特別な操作が必要になります。ICLレンズは小さく折り畳まれた状態で目の中に挿入されて、目の中で広がります。それゆえICLレンズを取り出す場合には広がったICLレンズを取り出すことになりますので、専用の器具が必要になります。
白内障
ICLを取り出す際に水晶体という部分を傷つけてしまうと白内障を起こす可能性があります。ただし、ICL取り出す場合には専用の粘弾性物質というものを使用し、水晶体を保護しながら取り出すので水晶体が傷つくことはほとんどありません。
緑内障
目の中の水の流れが悪くなり、目の中の水の量が多くなってしまうと眼圧が上がってしまうことがあります。眼圧が高くなると視野が欠けてしまう緑内障という病気を引き起こすことがあります。ICLを取り出す場合は、粘弾性物質というレンズ操作に必要な薬剤を多く使うため眼圧が上がってしまうことがあります。ただし、これは一時的なもので長期的な眼圧上昇によって緑内障になるようなことはありません。
網膜剥離・網膜裂孔
網膜に穴が空いてしまう裂孔や、そこから起こる網膜剥離が起こるといったことは、ICLの入れ替えを含めたICL手術ではほとんど起こらないと考えてよいです。
角膜内皮細胞減少
ICL手術時に角膜の内側に障害が起こると、角膜内皮細胞現象が起こる可能性があります。しかし、角膜内皮保護のための粘弾性物質を使用し、ICL取り出しに適した器具を使用すれば角膜内皮に障害が起こることはほとんどありません。
水疱性角膜症
角膜内皮細胞が大きく障害されると水疱性角膜症という角膜の透明性が保てなくなる状態になりますが、たとえ入れ替え手術であってもICL手術で起こる可能性はほぼありません。
ICL手術による後遺症が不安な方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICL手術は安全な手術と言われていますが、それでも危険性が無いわけではありません。可能性は非常に低いですが、後遺症が残るような合併症が発生することも無いとはいえません。しかし、適切な設備、適切な手術器具をもって適切な手術を行えば、その可能性を限りなくゼロに近づけることができます。
また、術後の合併症についても術後ケアをしっかりと行えば発生することを未然に防ぐことができます。ICL手術についてのご不安がある方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。