
「ICL手術を受けたいけれど、自分の年齢でも大丈夫だろうか?」と気にされている方は多いです。ICLは、視力回復の手段として人気が高まっている一方で、年齢による適応条件が設けられている手術です。
一般的に、ICLの適応年齢は21歳から45歳程度とされており、年齢によっては手術のメリットが小さくなってしまうケースもあります。また、年齢以外にも視力の状態や目の健康状態によって、適応かどうかが判断されるため、単純に年齢だけで判断するのは難しいこともあります。
本記事では、ICLの適応年齢の理由や背景、そして年齢以外に必要とされる条件について、分かりやすく解説します。「自分も受けられるの?」という疑問を解消し、安心して治療の選択肢として考えられるよう、ぜひご参考ください。
ICLには適応年齢がある?
ICL手術は強度近視にまで対応可能な近視矯正手術ですが、誰でもが受けられる訳ではなく、適応年齢があります。
原則18歳以上しか受けられない
ICLの適応年齢の下限はガイドラインで18歳と定められています。成長期の間は近視の度数も進んでいくことが多いので、あまり若いうちに手術をしてしまうと、その後、近視がさらに進んでしまい、結局また視力が下がってしまうということになってしまいます。
ガイドラインでは18歳以上となっていますが、実際には20歳くらいまでは近視が進む場合が多いので当院では21歳以上としています。また近年では、25歳くらいまで近視が進むというデータも出てきており、25歳以上を推奨している施設もあります。
45歳より上は推奨できない
ICL手術は45歳までを推奨としています。45歳以上でもICL手術はできますし、近視を治すこと自体はできます。しかし、45歳以上では老眼で近くのものが見えにくくなってきます。
そうなると、ICL手術で遠くが見えやすくなったが、老眼で近くが見えないということになってしまいます。ですので45歳以上ではICL手術を推奨していません。老眼をなおすためのICLも存在はしますが、日本では承認されていません。
ICLに適応年齢が設けられている理由
ICLに適応年齢が設けられているのは、適応年齢以外では手術をすることのメリットが小さく、デメリットが大きくなってしまうからです。年齢が若すぎると、前述した通り、またその後に近視が進む可能性が高いです。
そうなると、ICLの入れ替え手術が将来的に必要になり、身体的にも金銭的にも負担が大きくなってしまいます。ICLは入れ替えができることが大きな利点のひとつですが、ICLの入れ替えも手術ではあるので目に負担はかかりますし、確率は低いですが一定のリスクもあります。
手術は一回で済むにこしたことはないので、やはり近視の進行が止まってからICL手術をするのが望ましいでしょう。下限の年齢に関してはガイドラインでは18歳となっていますが、多くの施設で21歳を下限としています。これは近視の進行が20歳くらいまでは続くことが多いことが理由となっています。
当院でも多くの施設と同様に21歳を下限にしています。しかし、強度近視の場合は25歳まで近視の進行が続くことも多いので、25歳以上を推奨する場合もあります。
また、20代前半でICL手術を受ける場合は、将来の近視の進行を考慮に入れ、少し強めの度数のICLレンズを使うという選択肢を提案したりと、各々の患者様によって最適な選択ができるように努めています。
上限については45歳としている施設が多いですが、これは前述したように老眼が出てくる年齢を考慮してのことです。近視の改善については45歳以上でも問題がないので、老眼鏡が必要になることをご理解いただいた上でICL手術を受ける場合は、特に問題はありません。
もうひとつの理由は、ある程度以上の年齢になると今度は、白内障手術の適応になる場合があるということです。白内障手術をする際には、ICLを摘出して白内障手術をすることになるので、せっかく入れたICLを取り出すことになってしまいます。
また、白内障手術の際には、IOLというレンズを入れることになるのですが、このレンズには近視と老眼を同時に治療できる多焦点レンズというものがあります。
つまり45歳以上の場合は、もう少し待って白内障手術を受ければ近視と老眼が両方治せる可能性が高くなるため、ICL手術を受けるメリットがあまり無いということです。
当院では、ICLのWEB説明会を行っており、幅広い年齢層の方から申し込みがあります。その中には50歳を過ぎている方もおられます。そのような方にはICL手術では老眼が治らないこと、年齢的には白内障手術の適応のほうになってくること、白内障手術では近視と老眼の両方が同時に治療できることを説明しています。
ICL手術と多焦点レンズを使った白内障の価格はほぼ同程度なので、白内障手術のほうを受けられる方が多い印象です。
ICLにおける、年齢以外の適応条件
ICLは年齢以外にも適応条件があります。問診や術前検査によって適応かわかります。当院では、まずはWEB説明会を申し込みいただき、その時点で明らかに適応が無い場合はお伝えするようにしています。
そうすることで、せっかくICL手術希望で受診いただいたのに適応ではなかったということがないようにしています。
ICLを受けられない人
1.近視が軽すぎる、遠視がある
近視が-3.0D未満の場合はICL手術の適応になりません。また、遠視の場合もICL手術の適応にはなりません。この場合はWEB説明会の問診の時点でわかることが多いです。
軽度の近視や遠視の場合に使用できるICLレンズは存在はしますが、日本では承認されていません。個人輸入でとりよせて軽度の近視や遠視の方にICL手術をしている施設はありますが、当院では危険が大きいと考えて取り扱っていません。
2.白内障、緑内障、角膜疾患などの病気がある
近視・乱視以外の目の病気がある場合にはICL手術は受けられません。このケースについては術前検査の時点でわかりますので、その旨お伝えさせえていただき、各疾患に必要な治療をさせていただきます。
3.前房が狭い
ICL手術は目の中にレンズを挿入する手術ですが、前房という目の前のほうのスペースが小さすぎると入れることができません。このケースは専用の術前検査をしないとわかりませんので、ご来院いただいてからの判断になります。
4.妊娠中である
妊娠中の方はICL手術を受けることができません。
ICLを受けられる人
1.通常程度の近視、乱視、強度近視の場合
近視が-3.0D未満の場合はICL手術の適応になりませんが、それ以上の場合はICLの適応になります。特に強度近視や乱視に関してはICLはかなり広い範囲の適応レンズがありますので、これまでレーシックは適応外となっていた方も受けることができます。
2.目に特別な病気がない
近視以外の目の病気がない方はICL手術を受けることができます。病気の種類によってはICL手術を受けることはできますが、術前検査を受けていただいた上での個別の相談となります。
ICLのメリット・デメリットを確認
ICLは安全性が高く、近視矯正手術としての満足度が高い手術といわれていますが、メリットとデメリットがあります。
ICLのメリット
1.メガネ・コンタクトが不要になる
ICLの最大のメリットはメガネ・コンタクトレンズが不要になることです。特に強度近視の方の場合、メガネではものが小さく見えますし、人から見た場合に目が小さく見えるという見た目の問題もあります。
またコンタクトレンズは毎日のケアが面倒であることや、コンタクトレンズを長期間使用することによるドライアイやアレルギーなどの合併症、白目が黄色くなったり常に充血気味になったりということもおこります。
また、災害時にメガネ・コンタクトが使用できない状態になるとかなり危険な状態になってしまうという問題もあります。これらの問題を解消できるのがICL手術の最大のメリットといえます。
2.強度近視に広い適応がある
ICL手術は目の中にレンズを挿入する手術です。ICLレンズは強度近視に関しては広い範囲の度数が存在しますので、レーシック手術では適応外となる場合でも治療ができます。
レーシックは角膜を削って近視を矯正するという手術の性質上、強度近視では角膜を削る量が多くなり過ぎて適応外になってしまいます。それに対してICLは、強度近視でも挿入するレンズの度数が変わるだけなので、手術の難易度も変わりませんし、リスクが高まることもないです。
3.コントラスト感度が落ちない、ドライアイの合併症が少ない
ICL手術ではレーシックと異なり角膜を削る必要がないので、コントラスト感度がおちたりドライアイになったりすることがほとんどありません。
コントラスト感度とは簡単にいうと色のクッキリした見え方のことですが、レーシックではこれが低下してしまうことがありますが、ICLではそれがありません。
ICLのデメリット
1.費用が高い
ICL手術は両眼で60−70万円になることが多く高額です。これはICL手術で使用するICLレンズが高額であるためで、今後も大幅に価格が安くなる見込みは少ないです。同じ近視矯正の治療であるレーシックと比べても倍近い金額になります。
2.ハロー・グレア現象がおこる
ICL手術ではレンズを目の中に挿入するので、それによるハロー・グレア現象というものがあります。夜に光源をみた場合は、光が滲んだり伸びて見えたりする現象です。
レーシックよりはICLのほうが少ないといわれていますが、ハロー・グレア現象は確実に起こります。術後しばらくすると慣れて気にならなくなることが多いですが、ハロー・グレア現象自体がなくなることはありません。
また、ICLでは光源のまわりに光の輪が見えるようなハローが必ず起こります。
3.眼内の感染の危険がある
ICLは目の中にレンズを挿入する手術なので目の中に細菌が入って起こる眼内炎になる可能性があります。
眼内炎がおこった場合はICLを取り出して、抗菌薬による治療を行う必要があります。確率は0.017%と非常に低いですがゼロではありませんので、術後の目薬を含めたケアが非常に重要になります。
ICLに向いている人とは?
ICLの適応がある方でも、特にICLに向いている人と向いていない人がいますので、それぞれについて解説させていただきます。
ICLに向いている人
1.強度近視の人
強度近視の場合はメガネやコンタクトレンズでも十分な視力がでなかったり、度が強過ぎてしんどかったり、ハードコンタクトレンズの使用が必要になったりと大変なことが多いです。また、強度近視の場合はレーシックの適応外になるため手術が受けられません。
さらには、災害時にメガネ・コンタクトレンズが使用できない状態になるとほとんど何も見えないため非常に危険な状態にもなります。これらの問題が解消できるため強度近視の方はICLに向いているといえます。
2.ドライアイやアレルギーでコンタクトレンズが使用できない人
ドライアイが強い場合コンタクトレンズでより悪化してしまうため、コンタクトレンズが使用できない場合があります。またレーシックはドライアイをより悪化させてしまうため適応外となります。
コンタクトレンズでアレルギー性結膜炎が強く出る場合があり、こういった場合もコンタクトレンズは使用できません。少なくともICL手術はドライアイやアレルギー性結膜炎を悪化させることはありませんので、こういった場合は、ICL手術が向いていると言えます。
3.スポーツでコンタクトレンズ、メガネを使いたく無い人
スポーツでコンタクトレンズ・メガネを使いたくない場合は、ICL手術が向いています。この場合は、軽度の近視であればレーシックもよい適応となります。
ICLに向いていない人
1.術後のハロー・グレア現象が気になる人
ICL手術では前述した通りハロー・グレア現象というものが必ず起こります。これがどうしても嫌だという場合は、ICLには向いていません。
2.重症のアトピー性皮膚炎がある人
重症の皮膚疾患がある場合、手術後傷が治りにくく、細菌感染のリスクが高くなります。手術自体は可能ですが、通常よりもリスクが高くなることをご理解の上で受けていただくことになります。
3.神経質な人
細かいことが気になって仕方がないという人は、ICLは向いていません。手術後は近視は治りますが、見え方は手術前とは変わりますので、あまり細かいことが気になる場合はやらないほうがよいです。
ICLを受けられる年齢か気になる方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICLには適応の年齢がありますので、誰でもが受けられる手術ではありません。適応年齢やその他のことも、ネットで調べられる範囲では一般的な情報しか得ることができません。
適応外の年齢でも他のよい方法がある場合もありますし、逆に一般的には適応の年齢であっても、他の要因でICL手術が受けられない場合もあります。
ももの木眼科ではWEB説明会、術前検査によって個々人に合わせたオーダーメイドの説明ができるようにしています。それに一人一人の患者様に向いた治療法を提案することができますので、ICL手術についてのご不安がある方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。
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