「ICL手術を受けてみたいけれど、痛いのは怖い」と不安に感じている方もいらっしゃると思います。目の中にレンズを挿入するという説明を聞くと、どうしても「怖い」「痛そう」といったイメージをもつ方が多いです。
しかし実際には、ICL手術では痛みを感じにくいようにさまざまな工夫がされており、基本的に痛みはほとんどありません。麻酔は注射ではなく目薬で行い、手術時間も片目わずか3〜5分ほど。手術中の違和感や術後の軽い異物感を感じる方はいるものの、強い痛みが出るケースはごくわずかです。
この記事では、ICL手術における痛みの有無や、その対処法、痛みが出やすいタイミングなどについて詳しくご紹介します。少しでも不安をやわらげ、安心して治療を検討できるよう、ぜひ参考にしてください。
ICL手術の流れ

ICLは目の中に専用のレンズを入れて近視を矯正する手術です。ICL手術そのものの流れを具体的に説明いたします。手術そのものは片目5分以内に終わりますが、手術前の準備や術後の診察などがあるので、クリニックの滞在時間は1時間程度となります。
1.点眼麻酔・洗眼
来院されたら、手術室に入る前の準備が始まります。まずは麻酔の目薬と、瞳孔を開く目薬をします。十分に麻酔が効いて、瞳孔が開いたことを確認してから手術室に入ります。手術室に入ったら、目の周りの皮膚の消毒をして、その後に目の中の消毒を専用の目薬で行います。
2.角膜切開
消毒が終わったら、手術器具の入り口とレンズの入り口を作るために、専用のメスで角膜(黒目)の端に切れ込みを入れます。それぞれ1mmと3mm程度の非常に小さな切れ込みです。
3.ヒアルロン酸の注入
作った入り口から注射器をいれて目の中にヒアルロン酸を注入します。これを入れないと、傷口から目の中の水が出てしまい、目がぺしゃんこになってしまいます。またICLレンズを入れる空間を確保するためにも、ヒアルロン酸を目の中に満たす必要があります。
4.ICLの挿入
作った入り口からICLレンズを挿入します。レンズを入れる前に再度消毒の目薬を使用します。レンズは折り畳まれた状態で小さな入り口から入りますが、入ったあとゆっくりと開きます。
5.ICLの位置調整・固定
ICLレンズを虹彩の下に固定していきます。ICLレンズは長方形に近い形なので、4隅を虹彩の下に入れて固定します。乱視用のICLレンズの場合は、レンズの方向が決まっていますので、適切な方向にレンズを回転し、位置調整します。
6.ヒアルロン酸の除去
ICLレンズの固定がおわったら、専用の機械でヒアルロン酸を吸引して除去します。代わりに目の中の水に似た成分の水を満たします。
7.創口の閉鎖
最後にICL、手術器具の入り口の閉鎖を確認して終了します。入り口は非常に小さいので縫う必要はありません。
8.手術終了・点眼
手術が終了したら、最後にもう一度消毒の目薬を使用します。その後、目の周りを綺麗にふきとります。
9.術後診察
手術が終了してしばらくしたら、診察室で術後診察を行います。診察で問題ないことが確認できたらご帰宅いただきます。
ICL手術は痛みを伴う?
ICL手術で痛みがでることはあまりないですが、人によっては痛みを感じることがありますので解説いたします。
麻酔の痛み
ICL手術で使う麻酔は、目薬と鼻から気体を吸うタイプの麻酔のみです。目薬は少し染みることがありますが、注射の麻酔などはありませんので麻酔に伴う痛みは心配いりません。
手術中の痛み
ICL手術の手術が始まる時にはすでに麻酔の目薬が効いている状態です。それでも目の中の操作をするときに、虹彩(茶色目の部分)の痛みを感じる方がおられます。当院では虹彩の痛みをとるために、手術の最初に目の中に専用の麻酔薬を入れて痛みが出にくいようにしています。
それでもレンズを虹彩の下に固定する時、レンズを回して位置を調整する時に圧迫されるような不快感を感じることはありますし、この時に痛みを多少感じる方もおられます。特に強度近視の方は痛みが出やすいです。
手術自体は片目5分以内、多くの場合は3分程度で終わりますので、少し痛みを感じる方の場合でも問題なく手術できる場合が多いです。また手術中は笑気麻酔という、気体を吸入するタイプの麻酔も行いますので、緊張をやわらげることができます。
手術後の痛み
ICL手術の後2、3日は目に異物感があることがあります。手術の際に小さな入り口を作っているのでその影響です。時間とともに異物感はなくなります。また、ICL手術後は視力がよくなるので自然な状態で遠くにピントが合う状態になります。
近くを見る際にはピントを近くに調整する目の筋肉を使うことになるのですが、その際に少し痛みがでることがあります。この痛みについても術後1ヶ月以内に無くなる方がほとんどです。
ICL手術後の合併症の可能性
ICLは安全性の高い手術といわれていますが、それでも手術ではありますので合併症のリスクはあります。ICLで起こりうる合併症について説明いたします。
ハロー・グレア現象
ICLでは手術後にハロー・グレア現象というものが起こります。これは光源を見た際に起こる現象で、ハローは光の周りに輪っかのような薄い光が見えるもので、グレアは光を中心にスジ上の光が伸びて見えるような見え方をいいます。
ICLにおけるハロー・グレア現象はレーシックよりは少ないといわれますが、必ず起こります。
またICLレンズは、レンズの中心に穴が空いているというレンズの性質上、輪っかのような薄い光が見えるハローは必ず起こります。これらは術後時間がたっても無くなることはありませんが、多くの方は慣れて気にならなくなります。
私自身はまだICL手術が一般的ではなかった20年ほど前に、レーシック手術を受けています。ハロー・グレア現象は意識すればあることがわかりますが、普段は気になりません。
眼圧上昇
ICLでは、術後一時的に眼圧という目の圧力が高まってしまうことがあります。眼圧が高くなると目の奥の痛みや頭痛が出ることがありますが、そこまで眼圧が高くなることは非常に稀です。
眼圧が高くなった場合には、専用の目薬や飲み薬で眼圧を下げます。現在使われているICLでは眼圧の上昇は起こったとしても一時的なものが多いです。
感染症
ICL手術において最も気をつけないといけない合併症が感染症です。ICLは目の中にレンズを入れる手術のため、術後に傷口から細菌が目の中に入って感染症を起こす可能性があります。
確率は0.0167%と非常に稀ですが、ゼロではありませんので、術後は感染予防の目薬をしっかり使用し、目に汚れが入らないように注意することが非常に大事です。
感染が起こった場合には、ICLを一旦抜去して抗生剤による治療を行う必要があります。
ICL手術後に痛みが出たらどうすれば良い?
ICL手術は術後に強い痛みが出ることはほとんどありませんが、痛みが出た際の対処法について時期に分けて説明いたします。
1.手術当日:家に帰ってからの痛み
ICL手術では、手術当日に手術が終わってしばらくしてから診察をして眼圧の上昇がないかなど問題がないことを確認してから帰宅するという流れになります。
そのため、家に帰ってから痛みがある場合でも、その日緊急に処置が必要という場合は基本的にはありません。痛みが気になる場合は、痛み止めを飲んで対応をしてもらえれば大丈夫です。
2.術後1週間程度:ゴロゴロした痛み
ICL手術では感染症を防ぐため消毒薬を何度も使用します。また手術では目に小さな切れ込みをいれてそこから、器具やレンズを入れます。それらの影響によって術後1週間程度の間、目に異物感があることがあります。
この痛みについては、手術から時間がたつとともになくなっていくので心配はいりません。
3.術後1ヶ月程度:近くを見た時の痛み
ICL手術後は近視が改善するため、自然な状態では遠くにピントが合っている状態になります。そのため近くを見る時には目の筋肉によって、ピントを近くによせることが必要になります。
術後1ヶ月程度の間はこのときに鈍い痛みが出ることがありますが、こちらも自然となくなっていきますので、心配はいりません。
4.術後1ヶ月くらいまでの間:見えにくさ、充血を伴う痛み
他の痛みは問題のないものばかりですが、見えにくさと充血を伴う痛みが出てきた場合は、感染症の可能性があるため、なるべくはやく受診する必要があります。
当院では、土日祝も午前中は空いていますので、このようなことがもしあったらなるべく早めに受診していただくようにお願いしています。
統計的にも感染症がおこる確率は0.0167%と低いですが、万が一のことにも対応できるような体制を整えています。
ICL手術の痛みが不安な方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください

ICL手術は安全性が高く、痛みはほとんどない手術といわれていますが、中には痛みを感じる人もおられます。どんな方が痛みが出やすいか、どんな時に痛みが出るかについては術前検査で調べることができます。
当院ではできるだけ痛みを感じにくいように、手術中に目の中に直接いれる麻酔に加えて、気分をリラックスさせてくれる笑気麻酔をするようにしています。
また、時間も実際に手術を受けている時間は非常に短いので多少の痛みを感じる方であっても、すぐに終わったので問題なかったという方も多くいらっしゃいます。
ICL手術の痛みが不安な方は、京都市伏見区のももの木眼科にご相談ください。
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