京都市伏見区のMOMOテラス内にあるももの木眼科は、“大切な目を守り続ける”をコンセプトに地域の皆様から信頼される眼科を目指し日々診療にあたっております。このブログでは、目に関する患者様のお悩みにお応えできるようなさまざまな情報をお届けして参ります。近視の進行を抑える方法は多岐にわたります。そこで今回は、前回までご紹介をしてきたオルソケラトロジー以外の他の近視抑制方法をご紹介し、それぞれの方法を比較していただき、利点と限界を知っていただくことで、適切な治療法の選択にお役立ちできればと考えております。
【近視進行抑制のための選択肢】アトロピン点眼薬の使用
アトロピン点眼薬は、近視の進行を抑制する効果が確認されている治療法の一つです。ここでは1%アトロピン点眼薬と0.01%アトロピン点眼薬の二種類に焦点を当ててご紹介します。
1%アトロピン点眼薬
アトロピン点眼薬は副交感神経を遮断し、散瞳や調節麻痺を引き起こすことで知られています。弱視などの眼科検査で使用されるこの薬は、強力な近視進行抑制効果を持つとされていますが、その作用機序は完全には解明されていません。散瞳による光の感度増加や、調節麻痺による近見困難など、副作用も非常に強く出るため、近視進行抑制のために使用することはできません。
0.01%アトロピン点眼薬(マイオピン点眼薬)
1%アトロピン点眼薬と対照的に、1%溶液を大幅に希釈した0.01%アトロピン点眼薬はマイオピン点眼薬と呼ばれ、副作用を軽減しつつ近視進行抑制効果を保持します。長期使用でも副作用はほぼありません。
ももの木眼科のマイオピン点眼薬による近視抑制治療
ももの木眼科では、お子様の近視抑制治療として“マイオピン点眼薬”を処方しております。毎日、就寝前にマイオピンを点眼するだけで、近視の進行を抑えることが可能になります。使用する薬剤は非常に低濃度なので、副作用はほとんどありません。
ただし、保険適応外の治療となるため年間4-5万円程度の費用がかかります。また、最低でも2年程度の治療の継続が望ましいとされています。
また、近視の進行を遅くするだけで完全に止まるわけではないので、費用対効果の面ではイマイチというのが実際のところです。
【近視進行抑制のための選択肢】多焦点ソフトコンタクトレンズ(多焦点SCL)
累進多焦点メガネは、特に老眼の方々向けて設計されたものですが、子ども用の近視進行抑制にも利用されています。このメガネは、近くを見るときの眼の調節機能を助けるもので、近視の進行を緩やかにすることを目的としていますが、お子様が近用部を上手に利用できないため、当院ではとり扱っていません。
【近視進行抑制のための選択肢】オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、特殊なレンズを夜間に装用し、角膜の形状を一時的に変えることで日中の視力を補正する方法です。この治療法は、特に子供の近視進行を抑える効果が報告されており、眼軸の伸長を防ぐ可能性があります。しかし、レンズを使用しない期間が長くなると、角膜の形状は徐々に元に戻ってしまうため、持続的な使用が必要となります。
使用している間は視力は改善し、近視抑制の効果もありますが、日々の煩雑なケアが必要なことと、金額が高額になることが問題となります。
マイオピン点眼薬・多焦点SCL・オルソケラトロジー、それぞれの特徴を知ることは治療の第一歩
マイオピン点眼薬、多焦点SCL、オルソケラトロジーは、近視の進行を抑制するための選択肢です。それぞれには特徴があり、治療法の選択は患者様のご年齢や生活スタイル、具体的なニーズを考慮し、眼科専門医としっかりとご相談の上、最も適した方法を選択することが大切です。近視の進行を遅らせることは、将来的により重篤な眼の問題を防ぐためにも大切です。ご質問や疑問点がございましたら経験豊富な専門医が、しっかりとサポートさせていただきますので、どうぞお気軽にもものき眼科までお問い合わせください。