ICL手術の安全性
京都市伏見区のMOMOテラス内にあるももの木眼科は、“大切な目を守り続ける”をコンセプトに地域の皆様から信頼される眼科を目指し日々診療にあたっております。このブログでは、目に関する患者様のお悩みにお応えできるようなさまざまな情報をお届けして参ります。ICL(眼内コンタクトレンズ)は、角膜を削る必要がなく、小さな切開創からレンズを挿入することで、近視や乱視を矯正する治療法です。角膜に負担をかけず視力矯正ができることから今注目されています。今回は、“ICL手術の安全性”について歴史や素材も含め詳しくご紹介します。
ICL手術の安全性について解説
ICLの進化と安全性の向上
ICL(STAAR Surgical社製)は、2010年に国内唯一の眼内コンタクトレンズとして薬事承認を得、2014年に厚生労働省から認可を受けました。しかし、従来のICLには問題があり、角膜内皮細胞数の減少や合併症のリスクが指摘されていました。新たな「Hole ICL」の登場によってこれらの問題が克服され、安全性の高い手術法として確立されました。この新技術では、レンズに穴を設けることで房水の循環を確保し、1度の手術で完結できるようになりました。さらに、虹彩切開の必要性がなくなり、角膜内皮細胞数の減少を抑え、白内障や緑内障のリスクも大幅に軽減されました。
ICLレンズの素材:コラマーの生体適合性と安定性
ICLのレンズは、コラマーと呼ばれる素材でできています。このコラマーは、コラーゲンとHEMA(ハイドロキシエチルメタクリエート)を組み合わせて作られた新素材であり、目に入れてもほとんど異物として感じないほどの生体適合性を持っています。柔軟性も高く、目の中で破損する心配はありません。
このページコラマーはマイナス電荷を持つため、細胞やタンパク質などの同じ電荷を持つ粒子と反発し、細胞の付着を防ぐ特性があります。そのため、ICLレンズは眼内で長期的な安定性を維持しやすいです。ICLのレンズは人間の寿命よりも長持ちすると言われており、水晶体が正常に機能している限り、レンズの摘出は必要ありません。
ICL手術は認定医のみが実施可能
ICL手術は、日本眼科学会の専門医資格を持つ眼科医でかつ、認定医(ライセンス)制度をクリアした医師のみが行うことができます。この制度は、ICLが国内で安全に広まるために設けられました。この制度によりより安全なICL手術が可能となりました。
レーシック手術と比較から見るICL手術の安全性
ICL手術とレーシック手術は、屈折異常の矯正方法として比較されます。レーシックは角膜を削るため、不可逆的で一度削った角膜を元に戻すことはできません。また、レーシック手術中にドライアイのリスクが高まることもあります。一方、ICL手術は目の内部にレンズを挿入する方法であり、摘出可能で可逆性があります。ICL手術の小切開は涙の分泌に影響せず、ドライアイのリスクが低いとされています。ただし、元々のドライアイを改善する手術ではないため、注意が必要です。